『ママ、大変、うちにコヨーテがいるよ!』
エルモア・レナード/著、高見 浩/訳、 角川書店
エルモア・レナードといったら、『ジャッキー・ブラウン』、『ゲット・ショーティ』、『ラム・パンチ』など、クライムやサスペンスをベースに、ちょっとしたロマンスやコメディで味付けした作品を得意とする大御所作家です。
タランティーノらによって映画化されている作品も多く、本は読んでなくても映画・ビデオは見ている人も多いかもしれません。
そんなエルモア・レナードが、自身の孫達に向けて書いたといわれる本作。
主人公は、アントワンという名前のハリウッド渓谷に住む野生のコヨーテです。
人間に飼われている、かつてハリウッド映画のスターだったジャーマン・シェパードのバディ、ドッグ・ショウの女王でプードルのミス・ベティ、豪邸に住む白いペルシャ猫のローラたち、そして人間達と絡みつつ、彼らの暮らしと考え方をクールに眺めています。
アントワンは、犬に成り済ましながら、誘拐事件を引き起こしたり、映画撮影の現場でひと悶着起こしたり・・・、人間界で様々な経験をします。
人間界に暮らし、バディやミス・ベティに付き合いながらも、彼は野生で暮らす誇りあるコヨーテであり続けます。
チョットした興味で人間世界に飛び込みながらも、本来は野性に暮らし、何者にも束縛されないアントワン。そして、日常を何不自由なく暮らしながらも、洗練された文明社会に飼いならされたバディやミス・ベティ。
作者レナードが孫たち、読者達に言いたいことは明らかです。