「日本の国の形と国土学」
「日本の国の形と国土学」 川勝平太/著
土木学会誌 第90巻第6号“特集 コードとしての国土学”第8章
申し訳ありません。今日ご紹介するのは“一般書籍”ではありません。学会誌中の短い論文です。
学会誌を読む、というのは職業人としての半ば義務的な“情報の収集”としての行為です。私の場合。
しかし、今月号は“読みモノ”として面白かった記事がありました。チョットした驚きでした。この感動をメモしておこうと思って・・・、今日は特例記事です。
まず、最初の驚きは、
“日本の時代区分は、奈良、平安、鎌倉、室町、江戸、というように権力の所在地の名前でなされる”
という事実を読んだときでした。オーッ!そう云えばそうだ!とビックリ。こういう例は世界には無いのだそうです。
そんなこと、とっくに気が付いていたサ、という方も居るのでしょうけど、私は気が付いていませんでした。
“明治維新で、権力と権威を近づけ、一極集中の国家意思を示した明治・大正・昭和・平成期は、「東京時代」と名付けられる”
というのも、ナルホドでした。
そして、これからの日本は・・・、ということで著者の斬新な考えが述べられます。この考えも驚きでしたので紹介しますネ。
まず、日本を4分割します。
北海道・東北地方を『森の洲(くに)』、関東を『野の洲』、東海・北陸を『山の洲』、関西・中国・四国・九州を『海の洲』とする4地域です。(一般的なよくある議論では、8~10地域くらいの道州制、という案が多いようですが、そのような案では地域間の人的・経済的な格差が大きすぎるそうです。例えば、四国ブロックだけでは関東ブロックの1/10のGDPしかないそうです。)
上記の4地域はそれぞれが、カナダ、フランス、カナダ、イギリスの経済力に匹敵し、ひとつの地域だけで他の先進国と肩を並べることができるそうです。
新首都は、『森の洲』と『野の洲』の境界である那須に置きます。
各洲には、国家主権に関わる国防・安全保障・外交・司法・金融以外の権限を委譲し、「一国多制度」をとり、地域単位の広域連帯を創造していき、これまでの「国民国家」を克服しよう、というものです。
この著者の考え、私には新鮮でした。
実は2・3日前、マンガ雑誌にこの著者のインタビューが掲載されており、それをタマタマ読んだばかりでした。そちらのインタビュー記事も面白かった。
どうやら、川勝平太さんという学者の云うこと、書くモノはオモシロそうです。
著作を探すこととしましょう。
- 著者: 川勝 平太
- タイトル: 「美の文明」をつくる―「力の文明」を超えて