「明日なき二人」 | 本だけ読んで暮らせたら

「明日なき二人」

「明日なき二人」

 ジェイムズ・クラムリー/著、小鷹信光/訳、早川書房


2005.5/155/12記事も参照ください)


無頼の男、二人。「明日なき二人」の帯に書かれた文句です。

この文句だけで、読む前からワクワクしていました。


「登場人物

   ミロ・ミロドラゴヴィッチ・・・・・・・私立探偵

   C・W・シュグルー・・・・・・・・・・・・・私立探偵

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    」


と、あるのを見たときは、確実に脈拍が上がりました。

“ついに、あの二人が同じ作品に・・・”

そして、最初の1行を読み出したときには、さらに鼓動が早まりました。


クラムリーが生み出した二人の無頼探偵が共演(競演?)するという話を聞いたのは(読んだのは)、この作品の前作、「友よ、戦いの果てに」の“訳者あとがき”でした。

それ以来、この作品が出版されるのを待ち望んでいました。


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チャンドラー以来、数々のハードボイルド作品が出版・翻訳され、そのいくつかを私も読んできました。その中には、チャンドラーが確立したハードボイルドのスタイルや雰囲気に近い作品もありました。それなりに楽しめる作品が多くありました。

しかし、それらの作品には、やはり、あのチャンドラーを読んだときの衝撃や感動、フィリップ・マーロウの格好良さに憧れる感情と同じものはありませんでした。


クラムリーの作品には、ありました。

ミロ・ミロドラゴヴィッチの物語にも、C・W・シュグルーの物語にも。

チャンドラーを読んだときと、まったく同じ感覚ではありませんでしたが、クラムリー作品独自のワクワク感がありました。何といっても、主人公達のハチャメチャぶりに対する憧れのようなものが湧きました。

いそいでページをめくらなければならない、そんな感覚に追い立てられるような作品は極まれです。初めて「酔いどれの誇り」を読んだとき、私の中でジェイムズ・クラムリーが、そんなマレな物語を書く作家の1人になったのでした。


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「明日なき二人」、無頼の男たちは期待通りのハチャメチャを巻き起こし、クライマックスに向け疾走します。