すべての道はローマに通ず

著者: 塩野 七生
タイトル: ローマ人の物語〈10〉― すべての道はローマに通ず 新潮出版
「ローマ人の物語」シリーズで、このⅩ巻だけが他の巻と趣が異なるとのことです。
古代ローマの人々が整備したインフラ・ストラクチャーを採り上げています。
しかし、やはりいつものように、塩野さんの語りは、人(古代ローマ人たち)に焦点があたっているように思えます。
塩野さんは、ローマ人たちが、なぜそこまでインフラ整備にこだわったのか、インフラ整備にもハード的な面とソフト的な面があること、などを強調しています。
医療や教育制度などのソフト・インフラの整備に対するローマ人たちの考え方を協調する点が、塩野さんたる所以です。
題材が題材なだけに、かなりの数の絵、図、写真、地図が載っています。これらと照らし合わせて文章を読んでいくのはチョット大変でした。しかし、これらの膨大な“ビジュアル”があるために、内容がいっそう判り易くなっています。
巻末の60ページ以上にわたるカラー写真と地図、こういうのを見せられると、実物が見たくなります。いつかは行ってみたいものです。イタリア、地中海。