色つきのマスク、柄つきのマスクも珍しくなくなった今から考えると、なぜ、あんなことを考えたのか、よくわからない。

何を隠そう、僕は黒いマスクはヤンキーのマスクだと怯えていた。

10代の頃、とてつもなく流行ったのがヤンキーマンガ。
その登場人物の上から3~5番目に強い奴が着けてるのが黒いマスク。
3~5番目は上過ぎるかな…。
4~6番目ぐらいか…。

そして、その4~6番目に強いというのが、曲者で、その辺りで偉そうにしている奴が一番、残虐無道で弱い者をボコボコにする。

ぼくは弱い者の部類に属するので、そのマンガから学んだことは、『黒いマスクを見つけたらすぐに逃げろ』ということだった。

大人になっても、多感な時期に刻み込まれた防衛本能は健在で、今でも黒いマスクの人が前からやってくると緊張する。

もちろん、黒いマスクは韓国で流行っているとか、日本でも最初のマスクは汚れが目立たないように黒かったとか、それを広めたのは松本良順で、彼が牛乳を広め、海水浴も推奨したこととは知識として持っている。

それでも、マンガの印象は強くぼくを支配しているのである。

マンガとはかくも人を支配するのである。