オイラの実家は離島にある
築年数も相当なものだと思われる古い家
古い家自体は嫌いではない。
木のぬくもりが感じられ居心地がいい
ただ構造には いささか不便を感じていた
トイレと呼ぶには語弊がありそうな部屋
そう便所或いは雪隠とでも呼ぶのがふさわしい
ここに行くには庭を横切らなければ行けない
実に面倒である
昼間はともかく夜は怖い
実家の裏は小高い山になっており
中腹にはお寺があり
その周囲には墓地がある
便所を目指そうとする時
その視線の延長線上には
必ずその光景が存在する
まだ その頃は火葬に反対し
土葬を強行する家も存在しており
運が良ければ(或いは運が悪ければ)
人魂を一緒に見ることもある
正体はリンが雨水に反応して燃える現象らしい
そんなことは後になってから得た知識で
当時のオイラは知る由もなく
便所への遥かな道を断念し
庭先で用を足したこともあります。
また、台風が大暴れして
裏の山の一部が崩れて
我が家に流れ込み
その土に人骨が混じっていたこともある
誠に物騒な環境にありました。
その後、山崩れ防止の防護壁が整備され
人骨が流れ込むことは無くなりました。
周囲の家も代替わりして
新しく立て替えられたりして
町の様相は変わりましたが
オイラの実家は何の変化もなく
昔のまま 建ち続けているのです。