文学部の哲学科を卒業しました。
上智大学では、有無を言わさず、
哲学といえばドイツ哲学。
第一外国語はドイツ語で、
四年の時には哲学の原書をドイツ語で読みました。
とは言え、
興味があったのは東洋宗教。
仏陀、
ゴータマシッダールタさんの生涯を学んだり、
仏教の歴史を追ったりしていました。
煩悩も自我も強かった私は、
般若心経を読み解くと…
とても救われる想いがしました。
今も、寝る前には
般若心経を唱えてからベッドに入ります。
そんな般若心経の「写経」に誘って頂き、
鞍馬寺まで行って参りました。
ちなみに…
鞍馬寺に阿吽の狛犬はいません。
鞍馬寺を守っているのは…虎なんです。
狛犬ならぬ狛虎。
とってもアーティスティックなお姿。
虎は毘沙門天のお使いである神獣といわれ、
毘沙門天のご出現が、
虎の月・虎の日・虎の刻であったことから、
鞍馬山では特に大切にされているそうです。
そんな鞍馬寺で写経をさせて頂くのは、
普段は足を踏み入れることの出来ない…
現在は非公開になっている“寝殿”。
貞明皇后が行啓の際、
その休息所として建造されたそうです。
ケーブルカーで上がった山の上にある鞍馬寺。
俗世間を遠くにのぞむ“寝殿”からの眺めも
心を落ち着かせてくれます。
仏教の修行の一環として。
また、
教えを伝え広めるものとして始まった「写経」。
印刷などの技術がなかった当時…
サンスクリット語だったお経は
さまざまな言語に翻訳され、
多くの国の修行僧たちに書き写されていきました。
日本には奈良時代に伝わり、
僧侶の修行の一環として
盛んに写経がおこなわれたといわれています。
最近では
邪念を払うとも考えられ、
「写経」する人も少なくないと言います。
文字を書いていると精神が集中するので、
怒りや不安などの邪念を忘れ、
心が安定するのではないでしょうか。
鞍馬寺で写経をした後は
鞍馬街道沿いの花背にある
緑豊かな福田寺へ。
お世話になっている方が世襲し、
再興すべく頑張っていらっしゃるお寺です。
平安時代から
人々の心の拠り所となって来た福田寺。
境内にある石碑や苔むした石庭は
1000年以上に渡って、この地を見守って来ました。