生まれて初めて

祇園祭の山鉾巡行を見たのは35年前。


読売テレビに入社した年、

先輩が生中継をするということで、

その取材に付いて行かせて貰いました。


観覧席を超え、

カメラマンと一緒に路上を這いずり回り、

『辻回し』の迫力を間近で体験した

鮮烈な思い出です。


その数年後、

夕方のニュース番組で

長刀鉾の前から自ら生中継をし…


旅モノの番組のナビゲーターをしていた時は

鉾町に密着して取材。

山や鉾を支える皆さんの想いを知りました。


様々な角度から

知れば知るほど魅了されてやまない祇園祭。


仕事を離れてからも

『今年は、どこで山鉾巡行を観ようか!』

6月くらいから落ち着きがなくなって来ます。


そして!

今年は…!!


すぐ目の前を山や鉾が通り過ぎる

最高の場所を、

京都通の友人に教えて貰いました!


山鉾巡行と言うと四条通や河原町通など

大きくて広い道路を思い浮かべがちですが、

実は、その後、

自分たちの鉾町に戻るため

『新町通』と言う、かなり狭い道を通るのです。


それも、

いつもの一方通行とは逆向きに進みます。


大きな道を堂々と進む姿も素敵ですが…

対面通行ギリギリの狭い小路を

屋根の上に乗った『屋根方』が

時には電柱を蹴ったりして

電線や看板などの障害物を避けながら進む様も

なかなか見応えがあります。


そんな『新町通』に面するマンションの2階で

山鉾巡行を観せて貰うことが出来ました!!


ベランダに出ると、

ちょうど目の前を通る山や鉾。

囃子方や先導の皆さんの表情も

手に取るように見ることが出来ます。

時にはマンションから出て、

新町通で巡行を待っていると…


遠くから風に乗ってやって来る

コンチキチンの音が、

しっかりと輪郭を持った音色になり…


エイヤラヤーと言う掛け声が

熱く聞こえ始めます。


電柱と電柱の間を縫うように引かれて来た

巨大な山や鉾が

見る見るうちに大きくなり…


ギイィィィ…と言う

十何トンもの重みにたえ続ける車輪の悲鳴が

コンチキチンをかき消すように響くと…


迫力ある、その巨体が

手の届くスレスレのところを通り過ぎて行く!!


いやいやいやいや、

もうその迫力とすれ違う快感が癖になって

めちゃくちゃ暑いのに

次の山鉾をついつい待ち続けてしまいます。

ちょうど保存会の前のマンションだったので、

他の鉾の皆さんと、

保存会の方とのご挨拶や心添えなどなど、

皆さんと心の触れ合う瞬間にも

立ち会うことが出来ました。

暑い中、

辻回しに使う竹を運ぶ人や…


5〜6時間に渡って、

山や鉾を引き続ける皆さん。


滝のように流れる汗で落ちてしまった

日焼け止めを塗り直すまもなく

真っ赤に日焼けしながらの笑顔が印象的でした。


様々なドラマを目の当たりに出来る

『新町通』の山鉾巡行。


今までの体験の中でも、

忘れられないものになりました。


マンションのお部屋を開放して下さった

まゆみさん。

連れて行ってくれたお友達。

山鉾巡行を守り続ける皆さん。

本当に本当に有難うございました。

心から感謝しています。