『植村先輩!
なかなかレギュラー番組を持たせて貰えなくて…
どうしたら良いですか?』
読売テレビのアナウンス部時代、
入社して数年目のアナウンサーの後輩から
度々相談を受けました。
気の遠くなるような競争倍率を乗り越え
テレビ局に入社したとしても、
すぐにレギュラー番組を担当出来るとは限りません。
そして…
優秀だからアナウンサーとして採用される、
人より優れているからレギュラー番組につける、
そうとは限らないのです。
全て、
運とタイミング。
入社試験も、レギュラー番組も
全く同じ。
もしかすると、
人生に起こる出来事は全て同様なのかもしれません。
その人の能力や魅力は関係なしに…
運とタイミングが大きく人生を左右する…
とても優秀で
めちゃくちゃ素敵な性格の学生さん。
とあるテレビ局の最終選考に残りました。
アナウンサーとして採用される能力も魅力も
十分過ぎるほどあります。
でも。
たまたま容姿の似た人が
前の年に入社していたのです。
テレビ局には
同じタイプの人を
続けて採用する意味がありません。
報道、スポーツ、バラエティ。
色々な番組がありますから
様々なキャラクターが必要です。
タイミング悪く、
その優秀な学生さんは
その局に採用されませんでした。
レギュラー番組も同じです。
たまたま視聴率が良くて
長く番組が続いている時は、
番組内容に変化はありません。
視聴率の良い時代にテレビ局に入社すると
なかなか先輩がレギュラー番組から離れないので
後輩に仕事が回ってくる機会は限られます。
ある時、
なかなか希望する番組に
レギュラー出演が出来ない後輩が
悩みに悩んだ末、
アナウンサーを辞めて報道の記者になりました。
ところが…
その半年後、
彼が希望していた番組の視聴率が、
たまたま低下したのです。
そして、
たまたま人事異動の時期が重なり
新しいプロデューサーが来ることになりました。
番組改革が命題となったプロデューサーは
MCを変えることにしたのです。
彼がアナウンス部にいたら
彼に白羽の矢がたっていたかもしれません。
いや、彼が熱望していたことは
皆が知っていました。
きっと彼にも声がかかったでしょう。
このまま、ずっと状況は変わらない。
ここに居たら好きな番組を担当できない。
そう決めて決断するのは
少し早かったようです。
半年ほど前に、
同じマスコミで働く友人が自ら命を絶ちました。
かつて、
彼はお昼のワイドショーで、
オウム真理教をはじめ
問題のある新興宗教を番組で扱っていました。
被害者の方の救いになるよう
ガンガン取材して放送をして
ジャーナリストの1人として闘っていたのです。
その番組には
有田芳生さんも出演していました。
今、宗教問題で
テレビに出ていらっしゃる有田さんの姿を拝見すると、つい思ってしまうのです。
彼が生きていたら
きっと、また熱くなって、
なんらかの形で、
今、問題のある新興宗教の件に取り組んでいたのではないかと。
もちろん、
彼が自らの命を絶った時は
既に番組を離れ、違う部署にいました。
でも、
問題のある新興宗教に詳しい彼のことです。
番組の外から
プロデューサーやディレクター、記者のフォローをしていたのではないかと思えてなりません。
半年ほど
自らの命を絶つのを待っていたら…
きっとまた仕事に燃えて
違う人生が待っていたのではないかと。
人生は何がいつ起きるか分かりません。
このまま状況が変わらない。
そう思って意気消沈するのは早いのです。
いつ何かが起きて
もしかしたら大きなチャンスが巡ってくる。
そんな可能性だって少なくないのです。
悪い状況は変わらない。
絶対にそんなことはありません。
命を絶つ前に、
友人に伝えたかった言葉です。
本当に
人生はいつ何が起きるか分からないのです。
あなたのその決断、
早すぎることはありませんか?
