先日、国宝 彦根城の夜桜を観に行きました。
関西で染井吉野を楽しむのは
『これが最後』ではないかと思われるタイミング。
彦根城のお堀を囲むソメイヨシノは
まさに『我が世の春』を楽しむように…
咲き誇る、と言うより
咲き乱れておりました。
時間はちょうど日暮れどき。
刻一刻と色彩を変え
曖昧に暮れゆく春の空と
満開の染井吉野、咲き始めた八重桜とが
この世のものとは思えない景色を作っておりました。
目の前に広がる幽玄の世界に
思わず見惚れ、
帰る時間も忘れて
ただただカメラのシャッターを切り続けること4時間…
至福の時を楽しむことが出来ました。
とは言え、このような素晴らしい景色は
100年前にはなかったんです。
江戸時代、
彦根城内に桜はありませんでした。
桜の名所となるきっかけは、
昭和9年ごろ、
地元の議員だった吉田繁次郎さんが植えた千本のソメイヨシノだそうです。
『桜の城にして
城下町を観光で発展させたい。』
そんな夢を描きましたが、
周りの人にはなかなか受け入れられず、
一軒一軒歩き回って寄付を頼んだ繁次郎さん。
雑草だらけのお城の周りに自ら苗を植え、
一生懸命に世話をしたのだとか…
私たちが、今、愛でている
目の前に広がる素晴らしい桜は
繁次郎さんが90年近く前に思い描き
夢に見た景色なんです。
先人の皆さんの苦労の上に成り立っている。
つい美しい桜に目を奪われてしまいがちですが、感謝しながら
素晴らしい景色を楽しみたいですね。













