転勤で京都勤務から離れる際、ふと思ったことがある。
「そういや、オレあんま形に残る思い出ってないなー。ほとんど食いもん
ばっかで、みんなもう消化しちまったし・・・」
最後の挨拶回りを終えた私は河原町から烏丸へ帰るべきところ回れ右して
祇園へ。実はアタリをつけてて、欲しいと思ってたものがあったんです。
着いた先は四条通沿いの「舞扇堂」さん。そう、扇子を持つのってカッコエエ
なーと思ってたんです。ぐるりと見回してビビっと惹かれた一本が。黒染め扇骨
に濃青の無地、コリャいいと思って入手しました。
ところが、扇子を雅に扱う術を知らなかったせいで、すぐにボロボロにしちゃい
ました。今思えば、あれじゃ駅前でタダで配ってるウチワでもすぐ壊れるわ!
みたいな乱暴な使い方でした。
以後少しづつ扱いにも慣れ、現在はネットで見つけた「京扇子の井ノ口
シンプルな中に、色の切り替えしのグラデーションが美しくとても気に入って
います。
職場などで「キミ、いい扇子持ってるなー」などと言われようならシメタもの。
「いやこれは京扇子でしてねぇ。京扇子は経済産業大臣指定の京の
伝統工芸品にも選ばれてましてねぇ・・・」などと、ココぞとばかりにオタ知識を
ひけらかしております。
現在京都を離れてしまった僕にとっていつも身近にある「携帯する京都」
パタパタと雅にあおいで、京都に思いを馳せております。