『カンコンキンシアター32 ~THE LAST MESSAGE~ 「クドい!」』鑑賞記 | 渡る世間にノリツッコミ リターンズ(兼 続日々是鬱々)

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フリーライター江良与一のブログです。主にニュースへの突っ込み、取材のこぼれ話、ラグビー、日常の愚痴を気の向くまま、筆の向くまま書き殴ります。

 

 

30周年の節目を迎えた関根勤氏のカンコンキンシアター。今年は公演二日目となる8/11(金)に鑑賞。節目の年で、盟友小堺一機氏の『おすましでSHOW』が昨年で終了していたところに持ってきて、タイトルがタイトルだっただけに、「もしかして今年で終わり?まあ、孫もできたし、レギュラー番組も少なからずあるし、ラビーも守りに入ってもしょうがないか…。すっかり視聴率が取れなくなった欽ちゃんみたいな「老醜」は晒して欲しくないし、モノマネのネタ元も随分なくなっちゃったしなぁ。これからは伴淳さんみたいな個性派俳優を目指したりするのかなぁ」などと少なからぬ「危機感」を持ちつつ鑑賞開始。今年の客席には例年に比べ女性が多買ったという印象を受けた。『おすまし〜』終了の余波だろうか?ただし年齢層は決して低くはなかったとだけ記しておく。

 

この「危機感」は関根氏の、休憩後恒例となっている一人語りであっさりと打ち消された。単にちょっと前に公開された映画『海猿』シリーズの最新作の題名が『The Last Message』だったのをパクっただけで、今後もまだまだこの公演は続ける旨が表明されたのだ。小堺氏の場合は大病の後遺症もあり、残念ながら明らかに歌唱力や体力に衰えが見られたが、関根氏はまだまだ元気一杯である。まあ、年齢的にいろんなところにガタがきているであろうことは想像に難くないが、少なくともステージを駆け巡る姿は健康不安など微塵も感じさせない。

 

さて演し物の構成はここ数年大きくは変わっていない。ラッキィ池田氏が手で股間を隠しただけの全裸で登場するオープニングに始まり、様々なシチュエーションのコント、キャイ〜ンやイワイガワのネタ、前述の関根氏の一人語りを経て、最後に少々長めのコントで締めるというものだ。

 

それだけに、時事ネタはもちろん、どれだけマニアックな人間(ちょうどメジャーとマイナーの境目にいる人物)を取り上げてネタにするのかが勝負となるのだが、そこは構成作家陣の確かな目利きにより安定している。剛力彩芽との恋愛が話題のZOZOTOWNの前澤社長を茶化してみたり、他人の不倫を厳しく糾弾した安藤優子に「自分だって二度も不倫して略奪婚したくせに」と厳しく突っ込んでみたり。相変わらず、関根氏自身の人の好き嫌いをネタにして、嫌いな人には徹底して毒を吐くというスタイルが貫かれている。この毒をイマドキの若い女性にありがちな言動行動に対して吐いているのが井川修司の一人語りネタ。私はこのコーナー毎年楽しみにしている。おっさん目線での若いねーちゃんへのツッコミは大いに共感できる(笑)。

 

年々「激化」しているのが下ネタ。今回も量は多かったし、内容もよりエゲツないものになっていたが、私の好みには合致していたので文句はない(笑)。師匠の萩本欽一氏は下ネタを「知能程度の低い笑い」だとして嫌悪していたが、美味い料理を作るコツがいかに化学調味料を効果的に使うかであるのと同様、下ネタも効果的に使えば、大きな笑いにつながる。

 

関根氏が評論家に扮する恒例のコントで、小椋佳氏の若き日の写真やエピソードを引っ張り出してきたのが少々意外だった。関根氏の次の「ターゲット」は小椋佳氏なのだろうか?歌はともかく、小椋佳氏のトークについて真似てくれれば、またマニアックな笑いにつながるであろう。

 

最後のロングコントは関根氏自身の半生をネタにしていた。ぎんざNOW!の素人コメディアン道場で初代チャンピオンになってから、浅井企画入りし、その後現在に至るまでのヒストリー。関根ファンにはおなじみのオハナシが多かったが、それはそれで笑えるのだ。個人的にはカックラキン大放送のカマキリ男と、当時は全く受けなかった田村正和の「サティスファクション」ネタが見られて大満足。欲を言えば、あまり早口でやるのではなく、十分にタメて間をとってやってほしかったところだ。黒子とグレ子のコーナーも懐かしかったなぁ。これも欲を言えば、盟友小堺氏にここだけ出てきてもらって、往年の名作コントを演じて欲しかったように思う。

 

三時間以上目一杯笑わせてもらった。この公演鑑賞なしには当家の夏は始まらないと言って良いくらいのイベントとして定着した。

 

最近は残念ながら、メジャーなお笑い番組での露出が減っており、モノマネの新ネタがほとんどなかったのが少々残念。このステージでウケれば笑っていいとも!の年末特大号の紅白歌合戦で全国に披露するという流れがあったそうだが、どこでメジャーなネタにするかはともかく、「実験」は続けていって欲しいと思う。ファンが関根氏に期待するのは、ほかの誰もがやらないであろうネタを披露してくれることであるからだ。