本稿においては、おもに芸能界やフィクション作品のライバルについて記述する。

 

概要

 ライバルとは、物語の主人公などが、その実力を認め、または絶対に打ち負かさなければならない相手として意識する人または組織をいう。”打ち負かす” の意味に必ずしも死を含まない点において、かたき(仇、敵)とは異なる。

 

芸能界・放送界におけるライバル

 

○AKBグループ vs 坂道グループ

 

 アイドル歌手グループ同士のライバル関係であり、両陣営をプロデュースする秋元康によって提唱された、AKBグループ対坂道グループ(主に乃木坂46)のライバル関係である。 AKBグループは、AKB48、SKE48、NMB48、HKT48、NGT48など、多くの場合は国内グループを指しているものとみられる。坂道グループは、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46より構成される。なお坂道グループには吉本興業所属の芸人によって結成された吉本坂46も含まれるが、ファンの構成や基本的なスタイルの違いなどから、ライバル関係には含まれないとする見方が一般である。

 

 

○日本テレビ vs フジテレビ

 

 伝統的に両局がスポーツ戦略に力を注いできたことや、そもそも日本国内においてテレビが "東京オリンピック"、"赤ヘル軍団"、"巨人V9" などの主要なスポーツイベントと共に大きく発展してきたことから、スポーツ番組における競争は、この2局で特に1970年代中盤から90年代初期にかけて激化したものと思われる。

 なお、このライバル関係は、90年代前半、フジテレビのニュース番組「ニュースJAPAN」が雨傘番組化したことによって番組イメージが視聴者の間で一般化せず、以降フジテレビは視聴率競争の中心からは外れている。よってこのライバル関係は1990年代前半に日本テレビの勝利で決着したといってよい。

 

 

○日本テレビ vs テレビ朝日

 

 平日の夕方4時台に、テレビ朝日が刑事ドラマの再放送にテコ入れし、対する日本テレビが夕方のニュース番組「news every.」の全国放送の時間帯を4時に繰り上げたことによって、2014年頃から激化したライバル関係である。一部の番組市場研究者からは、”日本の日朝戦争” と称される。また2014年2月に、日本テレビが当時入社1年度目の中島芽生アナウンサーをソチ冬季五輪で現地取材に向かった陣内貴美子キャスターの代打として起用したことも、後にテレビ朝日の同時間帯ワイドショー番組「スーパーJチャンネル」が中島と他局同期入社の林美沙希や、テレビ朝日の看板アナウンサーだった竹内由恵を起用するなどの動きにつながっていると見られる。

 

 

○鈴木光 vs 富永美樹

 

 毎週水曜午後7時から放送されている、現役東大生によって構成される ”東大王チーム" とそれを倒すためにインテリ芸能人を中心として十二、三名ほどの芸能人によって結成される "芸能人チーム" が対決するクイズ番組「東大王」における、東大王法学部の鈴木光 vs 元・フジテレビアナウンサーの富永美樹の関係性である。鈴木光がレギュラーメンバーとして同番組に出演し始めた2017年前後に成立した関係性とみられる。2人とも同番組において、段々と演奏する音階が増える "曲名当てクイズ" を得意とし、このクイズが出題されると、ほとんどの場合はこの2人を除くその場の者全てが沈黙する。また最初に問題文で示される "最初に?の音と?の音だけ演奏します" というアナウンスの時点で、曲を一度も聞かずに解答ボタンを押す "音階押し" も、同クイズで披露される。

 

フィクション作品におけるライバル

 

○NARUTO

 

 「NARUTO(ナルト)」とは、主人公のうずまきナルトが、おつかいや子供の世話、ひいては敵軍へのスパイや敵対忍者との戦闘などといった任務や、ナルトと仲間忍者との日常を通しての成長を描く、岸本斉史作のマンガ、およびそれを原作としたアニメ作品である。以下は同作品において成立している主なライバル関係を示す。なお、特記無き場合、基本的に木ノ葉隠れの里の忍者を指すものとする。

 

・ うずまきナルト vs うちはサスケ

 

 春野サクラがうちはサスケに対して恋愛感情を抱いていることに対して、ナルトが嫉妬して成立している関係性。基本的にナルトの一方的感情であり、対するサスケは "ウスラトンカチ" などとバカにして相手にしていない。ただしアニメ第128話以降で勃発した2人の終末の谷における激闘では、地面に倒れたナルトを、サスケがじっと無言で見つめる描写があり、必ずしもサスケがナルトを意識していないとも言い切れない。

 

・ 春野サクラ vs 山中いの

 

 2人の関係性は、いのがサクラを男子のからかいから救った事により開始する。しかし木の葉アカデミー入学の前後に、2人が共通してサスケに恋愛感情を抱いている事実が発覚すると、2人はライバルとなり、それ以降顔を見るたびに悪口を言い合っている。だからといって必ずしも険悪な関係性でなく、アニメ第41話「ライバル激突!オトメ心は本気モード」以降で描かれる中忍選抜試験第3試験予選の2人の決闘においては、互いにその力を認めあっている。なお中忍試験の対決は、両者が同時に戦闘不能となり、引き分けに終わっている。

 

・ 日向ヒナタ vs 日向ネジ

 

 木の葉の名門一族 "日向一族" の宗家(本家)と分家の関係性に起因する関係。ヒナタが宗家、ネジが分家に相当する。ヒナタが誘拐されたことをきっかけにネジの父が殺害されたこと、さらには将来は宗家の後継者となろうヒナタが、実力でネジに圧倒的に劣っているなどの理由から、対立が深刻化した。

 

・  ロック・リー vs 日向ネジ

 

 前述のナルトとサスケによく似た関係性であるが、恋愛の三角関係はない。前述名門一族の出身で実力も優秀な日向ネジと、体術以外の才能がなく落ちこぼれと言われたロック・リーとの関係性。

 

・ はたけカカシ vs マイト・ガイ

 

 主に体術を競う、木の葉の上忍同士の関係性。店舗用カードゲーム(データーカードダス)において、はたけカカシの必殺技として "永遠のライバル" が登場し、そのカードの挿絵に2人が描かれるほどの伝統的な関係性を持つ。なおデーターカードダスにライバルとして同じカードに2人が描かれるのは、この2人が初である。

 

 

○金色のガッシュベル‼

 

 「金色のガッシュベル‼」とは、主人公の魔物・ガッシュベルが、自分の呪文の力を秘めた魔本を持つ中学生・高嶺清麿と共に2人1組になり、自分たちを除く99組の魔物たちを倒し、魔界の王を目指す姿を描く、雷句誠原作のSF・アクション漫画であり、また同漫画を原作としたアニメ作品である。以下は特記無き場合は魔物同士の関係性を示す。

 

・ ガッシュベル vs ティオ

 

 アニメ第14話「おてんばティオとアイドル恵」で、ティオの魔本の持ち主である大海恵のコンサートが、マルスによって妨害される危機を発端に成立した関係性。ガッシュがマルスを倒した後、2人が最後まで生き残り、どちらが勝ってもやさしい王様になるという誓いを立てた。

 

・ ブラゴ vs ゾフィス

 

 ブラゴの魔本の持ち主のシェリーは、ヨーロッパの名家出身であり、そのプレッシャーから入水自殺を試みた。その自殺からシェリーの命を救ったのが、ゾフィスの魔本の持ち主で心の優しい少女・ココである。しかしココはゾフィスに心を操られ、2人が育った街を破壊するために呪文を読まされる。以降、シェリーは、 "このくだらない戦いを一日でも早く終わらせる" と決意し、ゾフィスを深く憎むようになった。

 

・ ガッシュベル vs ダニー

 

 アニメ27話「我が息子ダニー」において、自らの本の持ち主・ゴルドーのおつかいで外出中のダニーが、おつかいの道中で遭遇したガッシュを魔物と見破り、殴る蹴るなどの方法を用いて本の持ち主(清麿)の居場所を吐かせようと試み、関係が成立した。なお、この対決はガッシュが格闘優位のダニーに必死に応戦し、互いに実力を認め合う引き分けの形で決着している。

 

・ 大海恵 vs 水野鈴芽

 

 清麿の同級生・水野鈴芽が、いつも清麿と一緒にいる大海恵に嫉妬して成立した関係性。水野鈴芽以外の当事者はほとんどのこの関係性を意識しておらず、また清麿はこの両者に恋愛感情を示している様子はほぼ無い。

 

 

○名探偵コナン

 

 青山剛昌原作の推理マンガ、およびそれを原作とするアニメなどの作品である。"東の高校生探偵" として数々の難解な刑事事件を解決に導き、"日本警察の救世主" とも称された主人公・工藤新一が、闇取引を目撃された黒の組織から、口封じとして毒薬を飲まされ小学生・江戸川コナンとなって刑事事件を解決に導く物語。黒の組織の正体解明を最終目的として、物語の大筋が進行する。

 

・ 江戸川コナン(=工藤新一) vs 黒の組織

 

 アニメ第1話「ジェットコースター殺人事件」の終盤、闇取引を目撃した新一に黒の組織の一員・ジンが忍び寄り、バットで新一の頭部を殴って気絶させた後に、新一が幼児化するきっかけとなった毒薬を飲ませた。以降、黒の組織による高層ビル爆破事件(劇場版第5弾「天国へのカウントダウン」など)などの凶悪犯罪に黒の組織が多く関わり、その度にコナンは黒の組織の実態に迫ろうと試みる。

 

・ 江戸川コナン vs 怪盗キッド

 

 アニメ第76話「コナンvs怪盗キッド」において成立した関係。コナンはもともと窃盗などの軽犯罪には興味を示さないタイプだったが、キッドが警視庁捜査二課も手を焼く大泥棒だと知り、工藤新一時代の "探偵としての犯人に迫る快感" が復活したものと考えられる。

 

・工藤新一(江戸川コナン)vs服部平次

 

 "東の高校生探偵" 工藤新一と "西の高校生探偵" 服部平次によって構成される関係性。このライバル関係は本人たちよりも、本人たちに期待する日本国民の期待によるところが大きく、当の本人たちはそこまでの意識はない。ただ、いざ事件となると探偵の血が騒ぎ、どちらが早く真実を明らかにするかを競う節は度々見られる。また2人で協力して事件を調べることも多く(劇場版第7弾「迷宮の十字路」など)、どちらかといえば対決というよりも互いの実力を認めあっての共闘といった側面が大きい。

 

スポーツ界におけるライバル

 現実世界の、スポーツにおけるライバル関係を記述する。

 

○日本プロ野球

 

・ 読売ジャイアンツ vs 阪神タイガース

 

 1936年の1リーグ発足時代からリーグ優勝を争う歴史的なライバル関係であり、また2リーグ制発足以降も同じセントラル・リーグ(セ・リーグ)に所属していることもあり、ライバル意識は強い。またこの両者による対決(特にレギュラーシーズンでの対戦)は、実況でも度々 ”伝統の一戦” と称される。

 

○Jリーグ

 

・ みちのくダービー

 

 山形県を本拠地とするモンテディオ山形と、宮城県を本拠地とするベガルタ仙台の関係性。2015年、山形がJ1年間最下位の18位となり、翌年からJ2に降格したため、以降みちのくダービーは天皇杯以外に実現不能となっている状態が続いている(天皇杯の組み合わせも抽選なので確実にこのダービーが実現する保証はない)。

 

・ 神奈川ダービー

 

 主にJリーグに加盟する神奈川県内に本拠地を置くクラブ同士の対戦を指す。その場合、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、Y.S.C.C横浜、SC相模原、湘南ベルマーレ、横浜FCのうちのいずれか2チームが戦う対戦カードを指す。

 かつては横浜フリューゲルスも存在したが、主要スポンサーの経営難によって横浜マリノスに吸収される形で消滅した(現在の横浜・F・マリノスの "F" はフリューゲルスの頭文字を表す)。しかし、その後フリューゲルスのような地域密着型のクラブが無くなることを危惧したサポーター有志が横浜FCを設立した。よって横浜フリューゲルスの名目上の後継クラブが横浜FCであり、実質的後継クラブが横浜・F・マリノスということになる。

 

・ プライド・オブ・中四国

 

 中国・四国地方に本拠地を置くJリーグクラブ(サンフレッチェ広島を除く)のライバル関係。専用のブランドロゴが制作されるなど、地域的熱狂は強い。ガイナーレ鳥取、ファジアーノ岡山、レノファ山口FC、カマタマーレ讃岐、徳島ヴォルティス、愛媛FC、FC今治のいづれか2クラブによる試合を指す。

 

 

○リーガ・エスパニョーラ プリメーラ・ディビジョン(スペインサッカー)

 

・ クラシコ(エル・クラシコ)

 

 スペインのサッカーリーグ "リーガ・エスパニョーラ(通称ラ・リーガ)" の1部(プリメーラ・ディビジョン)に加盟する、レアル・マドリード、FCバルセロナの2クラブによる対戦。ちなみにエル・クラシコはスペイン語で "伝統の一戦" を意味する。ここから派生したスポーツ界における "クラシコ" という呼称は数多く存在するが、単に "クラシコ" といった場合は基本的にこの2クラブによる試合を指す。