「心理戦ですね」

ここ数週間、まさに、心理戦が続いています。

怖がりで慎重派の夫は、「麻痺足にしっかり体重をのせて、健足でスリッパをまたぐ」という課題がなかなかできません。

「必要なのは、ほんの少しの勇気です。」

「追い込まれてできるタイプ」・・・いえ、 「追い込まれないとできないタイプ」の夫は、訪問リハの終了時間が近づくと、泣き落としにかかります。

「ね、おねがい、、、お、ね、が、い」

「いえ、やりましょう。できたら、終わります。一回です。一回できたら、終わりましょう」

先生のお昼休みを減らしてしまって申し訳ない、と思う私。

夫にも、先生の気持ちは、よ~くわかっているはずで、結局、勇気を振り絞って、やっとのことで、スリッパをまたぐ、ことになるのです。

         

それが、それが、今日のリハでは、追い込まれることなく、スリッパを跨げたんです


「何とかなるもんですね~」

「次回もできると、しっかり自信になるんですけどね・・・。今日は、頑張ってくれました。」

「麻痺足である右足を前に出す時も、またぐように大きく出したほうが良いのですか?」

「いいえ、右足は、スッと自然に出してほしいんです」

夫の目標の歩き方が、ようやく私にもわかってきました。

右足を小さく出して、前に、、右足の踵に体重をのせて体をまっすぐにして、左足を大きく前に出します。

麻痺足を大きく出してしまうと、体重をのせる時に膝を痛める危険があるそうで、距離は健足を大きく出すことでかせごう、というのです。

夫自身が歩きやすいように歩くと、麻痺足を大きく振出し、健足は小さく出しがちです。

         

今日の歩行訓練では、先生は夫の背後にピッタリくっついて、ヘッピリ腰になりがちな夫のお尻を押しつつ、自分の足で夫の足をコントロールしていました。

まるで、操り人形になった夫は、少しよろつきながら、必死で前に進みます。

先生は、夫の癖のある歩き方を壊したい、と思っています。

最後に、椅子に座る時、先生は椅子を麻痺側にずらして、座席の端を夫の膝の裏に当てて、「ここですよ。こっちに少しずれてます。麻痺足にしっかり体重をのせて、お尻を麻痺側にずらして座ってください」

こうして座ることで、麻痺側に体重をのせる訓練になるそうです。

さてさて・・・

この心理戦は、ようやく終わるのでしょうか?

大事な休憩時間を使って、夫を変えようとしてくれた、 先生・・・

感謝  感謝  です