うちの夫のように、脳の病気の後遺症で、体が不自由になった人の「歩き方」って、さまざまですよね。
麻痺足を引きずっていたり、振り回していたり、とても慎重でゆっくりな歩き方の人もいます。
私は、まだ夫が歩けなかった頃から、「夫は、将来どんな歩き方になるんだろう?」と、よく考えました。
「もう、歩けないかもしれない」と、半分、覚悟しながら、夫の歩いている姿を想像するのが楽しかったんです。
夫の場合、膝が弱く、麻痺した右足が軸になる時も、右足が少し曲がっていて、右足にしっかり体重をかけることができずに、体は、杖をついた左の方に傾いています。
なんとも不安定で、治したい部分が多くて、どこから手をつければよいのか、さっぱりわからなくなっていました。
それが、訪問リハのの指導をうけるようになって、徐々に夫の歩き方が変わってきています。
やっと、の考える、夫の目指す「歩き方」が、見えてきて、私や夫にもわかってきました。
私は、夫の右ひざが伸びきっていないことや、体が左に傾くことを、「仕方がない」と思い、「少しでも、マシになれば良い」という考えで、家でのリハを進めていたんです。
でも、は、マッサージやストレッチで、夫の体を整え、治療しつつ、右足を完全に伸ばして、体重をしっかり右足にのせさせます。
私のような妥協は、今のところ、ありません。
「膝がしっかり伸びれば、膝折れは、ありません」
「自主トレでは、膝を完全に伸ばせないでしょうが、それでも体重は、のるはずです。ご主人は、麻痺側に体を傾けたり、前傾姿勢になることに恐怖心があります。」
・・・ということで、前傾姿勢への恐怖心をとる自主トレを教えてもらいました。
夫と私が、向かい合って、椅子に座ります。
私の膝の上に、柔らかいクッションを置き、夫におじぎをさせ、顔をクッションにうもれさせる感じです。(顔を横に向けさせても良い)
私は、夫の腕を自分のほうに引っ張るように、夫をしっかり前傾させます。
この時、両手の力を抜き、ブラ~ンと下におろします。
とにかく、前傾のまま、体をリラックスさせたいのです。
私が、自分の手を前にだし、夫の背中にさわると、どこか緊張していたり、左右のどちらかが上がっていて、平らになっていなかったりします。
優しく、手のひらで背中を押しつつ、リラックスさせ、平らにします。
は、私を患者役にして、やってみてくれました。
「わ~、気持ちいい~」
「背中は、こうして、優しく押すんですよ。リラックスできるでしょ?」
「はい、やってみます!」
「私は、ご主人の体にいろんなアプローチをしています。今日は、お尻を攻めてみましたが、効果があった、と思います。どういうものが効果的か?人それぞれなんですよ。セラピストは、患者さんの体をさわりながら、探っていくんです。」
やっと、夫は、麻痺足を伸ばして、体重をのせる感じがわかってきたようです。
来年の今頃、夫は、どんなふうに歩いているんでしょう?
その、「目指す歩き方」をイメージしながら、練習するのも、良いでしょうね