いつも元気いっぱい、自信であふれた笑顔の、訪問リハの先生が、今日、「私の失敗です」と、悔しそうに言いました。
きっと、今日のリハの目標は、麻痺した右足をまっすぐにして、しっかり体重をのせて、左足を出すこと、だったんです。
もうそろそろ時間だなあ、って頃、、、リハの最後に今日の成果を見るべく、夫を歩かせたんですが・・・うまくいかず、は、「杖にたよっているからだ」と思い、杖なし歩行をさせたんですが、全く歩けず、夫には恐怖心だけが残ってしまった、、、というわけです。
杖なし歩行を諦め、椅子に座った夫は、時計を指さして、
「こっこ、っこ、ね?」
「そう、時間ですね、わかってます、、、でも、今終わるわけには、いかないんです。このまま終わると、今日のリハがマイナスになってしまいます。「できた」という思いで、終わって次につなげるんです」
そう言うと、は、夫の体にさわり、調整を始めました。
恐怖で固くなってしまった体をリラックスさせ、姿勢を正しくさせます。
「次の患者さんが待ってるでしょう?」
「はい、電話して謝ります。私、こういうこと、時々あるんで、わかってくれると思います。このままじゃ、帰れません。今度のリハまで引きずってしまいますから。」
それから、夫を上手く歩かせるまで、1時間、リハが続きました
帰るとき、は、「考え直します」と言いました。
「私の失敗です」という言葉は、今日だけのことではなく、今までのリハの進め方を後悔しているようなのです。
思ったように、夫の体の動きが改善していない。
頑固な癖が、どうしても取れない。
その一つが、立ち上がる時に、手を前に出した状態にすると、手すりを引っ張るように腕に力を入れてしまう癖です。
「ひっぱり癖」というそうですが、上体の力がない時、手すりを握って、手の力だけで、体を動かそうとして、病院で癖になってしまうことが多いそうです。
こういう癖がつくと、手に頼ってしまい、腹筋など上体の力が入れにくくなります。
夫は、その癖が消えず、立ち上がる時、手を握る反応が出てしまいます。
そんな癖、こんな癖、、、夫には、動きをじゃまする、癖、反応がいろいろあるのです。
「時間はかかっても、癖は、取れますか?」
「取れます。 私が取ります。焦らず、やりましょう」
先生のプロ根性を見た思いがしました。
夫の麻痺した体を治すには、どこまで、知恵や技術や努力が必要なのでしょう?
何年か後、夫が上手に歩ける日を夢見て、頑張ってみますか!?