3月26日(月)後半 8日目
(ガルニエ宮)
ノートルダム大聖堂の塔に登った後は、ガルニエ宮に向かいました。ガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」の舞台となったパリ・オペラ座、通称「ガルニエ宮」です。オペラ駅で下車しました。
建物は装飾的でこだわりも多く、建物正面の上方、円形の中の7つの胸像は、右から2番目がマイヤベーヤ(「オペラ座の怪人」のオークションに出てきます)、4番目がモーツァルト、5番目がベートーベンだそうです。
ガルニエ宮は、パリの国立・王立劇場として、またナポレオン3世をたたえる記念的建物として、当時36歳の無名建築家シャルル・ガルニエの案が採択され、13年の歳月をかけ1875年に完成しました。
凱旋門や放射状の道路網を整備したオスマンの「パリ改造」と時期を同じくし、ナポレオン3世の嗜好に合ったネオ・バロック様式の彫刻と装飾に溢れた建物は、世界で最も美しい劇場の一つと言われています。
現在も主にバレエを中心に公演が行われていますが、観劇しなくても建物の見学ができます。
見学のチケット売り場と入口は建物の裏手にあり、そこにガルニエの胸像がありました。
チケットを買い(大人11ユーロ)、かつて観客を迎え入れた円形ロビーを通ると、ピュティアの泉がありました。
そこから大階段と、高さ30mにも及ぶ豪華な吹き抜けの間につながります。
ここで「オペラ座の怪人」の仮面舞踏会が行われたのですね。
大階段の下の女性像の足は生々しくて妖艶。「オペラ座の怪人」の舞台を飾る像にも似ています。手には光のブーケを掲げています。
吹き抜けの間
バルコニーが沢山ありました。
吹き抜けの間の天井
グラン・ホワイエ
余りの美しさに驚きました。豪華絢爛とはこのこと。まばゆいです。
ベルサイユ宮殿の鏡の間を意識して作られたそうです。
客席は馬蹄形をしたイタリア式劇場 金と赤で統一されています。
客席の上には、シャガールによる天井画「夢の花束」と輝くシャンデリアが天井一杯に広がっています。天井画は築後約90年経った1964年に完成しました。
それまでの伝統的な女神像が描かれた初代天井画(下の写真、オルセー美術館に最終下図が残っている。)も悪くなかったですが、当時の文科大臣マルローがシャガールに依頼して替えたそうです。
うーん、絵としてはシャガールの方が好きですが、重厚な客席やガルニエ宮全体の雰囲気から考えると、初代の方が合っている気もします。でも、当たり前すぎて面白みがないかも。
シャガールの絵は色彩豊かで軽やかで美しく、一目で魅了されます。今でこそ高い評価を得ていますが、制作が発表された当時は、ロシア系ユダヤ人の近代美術家がフランスのシンボル的存在「ガルニエ宮」の天井画を手掛けることに批判的な声も多く、完成後もガルニエ宮全体の雰囲気に合っていないと違和感を覚える人も多かったようです。
そんな2代目のシャガールの天井画ですが、モチーフに14のオペラやバレエの作品、パリの景色が描かれ、絵の近くには作品名と作曲家名が書かれているそうです。
最初に天井画を観た時は、「何て美しい絵!」と思っただけで、細部までは分かりませんでした。
一体どんな作品が描かれているのでしょうか。
■外側の大きな円
・赤の区画
ラヴェル/ダフニスとクロエ
ストラヴィンスキー/火の鳥
*真ん中にエッフェル塔
・青の区画
ムソルグスキー/ボリス・ゴドゥノフ
モーツアルト/魔笛
*シャガールのサイン「Marc Chagall 1964」(左上の青の縁)
・白の区画
ラモー/作品??
ドビュッシー/ペレアスとメリサンド
*オペラ座が赤く描かれ花束を持った天使が飛んでいる。
・緑の区画
ベルリオーズ/ロミオとジュリエット
ワーグナー/トリスタンとイゾルデ
*凱旋門とコンコルド広場
・黄色の区画
チャイコフスキー/白鳥の湖
アダム/ジゼル
■内側の小さな円
グリュック/オルフェとユリディス
ベートーベン/フィデリオ
ヴェルディ/ラ・トラヴィアータ(椿姫)
ビゼー/カルメン
(ほかの方々のブログを参考にさせて頂きました。)
そんなに描き込まれていたとは 次回は双眼鏡必携ですね。
下の写真(借用)は上の写真の右辺りの拡大ですが、こんなふうに描かれていました。凱旋門とコンコルド広場が見てとれます。
シャンデリアはクリスタルと金メッキのブロンズでできており、重さは8トンもあるそうです。きれいで、何時間でも見ていられそうでした。
ガルニエ宮には図書室もありました。
舞台の2階部を取り囲む通路の奥まったところに、いくつか扉が並んでいました。ボックス席の入口です。
床も石のモザイクで、とても凝っていました。
一番奥の扉(左端)が、ファントム専用の5番のボックス席。
そこにはこんな金のプレートが
フランス語で “オペラ座の怪人” と書いてあります。
「オペラ座の怪人」ファンとしては大興奮してしまいました。ドアの窓から室内を撮影。舞台の真横なので、実際は観劇しにくそうでしたが。
今日は充実していました。ミュージカル好きにとって、パリに行ったら「ノートルダム大聖堂」と「ガルニエ宮」は外せません。今回は行っていませんが「1789」の「バスティーユ広場」もですね!
ガルニエ宮は17時でおしまいだったので、その後は歩いてマドレーヌ教会に行きました。もう気分的には蛇足でしたけれど。
マドレーヌ教会は外観が古代ギリシアの神殿のような、大きな教会でした。
その後は、買い物でもしようと近くの老舗デパート「プランタン・オスマン本店」に入ろうとしたのですが、入口にガードマンがいて簡単な荷物検査がありました。デパートでも荷物検査!?驚きましたが、イギリスだけでなく、ここフランスにおいても、テロに対する脅威と警戒をあちこちで実感しました。
思い起こせば、2015年11月、パリ市街と郊外の商業施設で、銃撃や爆破事件がほぼ同時に起き、死者130名、負傷者300人以上という同時多発テロがあったのでした。