「エイズに免疫を持つ人々」の遺伝的特性が明らかに


 エイズの歴史を通じて、たびたびエイズウイルス(ヒト免疫不全ウイルス:HIV)にさらされながら感染を免れてきた、少数の幸運な人たちが存在する。現在、研究者たちは進化の過程を遡り、なぜ一部の人だけがHIVに抵抗力を持つ――実質的に免疫があると考えられるケースさえある――のかを解明しようとしている。

 1月6日(米国時間)に新たに発表された研究、および昨年発表された諸研究で、エイズ免疫の起源は何世紀も前――つまり、この病気そのものが登場するはるか以前――にまで遡るとの説が示されている。HIVに身体を乗っ取られてしまうかどうかは、われわれの遺伝子に刻まれた人種的な系譜やはるか昔の祖先の病歴が重要な役割を果たしているようだ。

 今のところ、この研究成果は最先端の治療薬の開発につながるというよりは、物議を醸すことになりそうだ。だが今後、一部の人がHIVに感染しない理由に関する研究が進めば、逆に感染者の治療にも有効に使われる可能性がある。感染の防止に役立つ遺伝子が特定できれば、「治療のタイミングや強弱を決めるにあたっても、より洗練された手法がとれるようになるかもしれない。現在の治療法は、同じサイズの手袋をすべての人にあてがっているようなものだ」と述べるのは、マシュー・ドーラン博士だ。ドーラン博士は米空軍のエイズ専門家で、今回『サイエンス』誌のオンライン版に掲載された、エイズと遺伝的特性に関する新しい研究成果の執筆者の1人でもある。

 遺伝的特性によるエイズへの耐性の働く仕組みはさまざまで、耐性を持つ人種グループも多岐にわたる。最も強力な耐性は、遺伝子の欠損によってもたらされるもので、この特性を持つのはヨーロッパ、あるいは中央アジア系の人々に限られている。北欧に祖先を持つ人のうち、およそ1%はエイズ感染に免疫を持つと推定されており、なかでもスウェーデン人はしっかり守られている可能性が高い。スカンジナビアで生まれた遺伝的変異が、バイキングたちによって南に運ばれたという説もある。

 最も高いレベルのHIV免疫を持つ人には、1対の変異遺伝子――対になっている相同染色体のそれぞれに1つずつ――を持っているという共通点がある。この遺伝子があると、免疫細胞はエイズウイルスを侵入させる「受容体」を生成しない。この、いわゆる『CCR5』受容体――科学者たちによると「錠」のようなものだという――がないと、HIVは細胞に入り込めず、乗っ取ることもできない。

 この免疫を持つには、両親からそれぞれにこの遺伝子を受け継ぐ必要がある。どちらかの親からのみ変異遺伝子を受け継いだ場合にも、普通の人よりはHIVに対する高い耐性を示すが、免疫ができるわけではない。北欧出身の人たちの中では10~15%が、こうした、やや弱い形の耐性を持つと推定される。

 遺伝的変異が起きてからの期間を推定する手法を使って計算したところ、この変異は中世に遡ることが判明した(同様の、母親から受け継がれるミトコンドリアDNAを使った研究により、現在のヨーロッパ人はすべて、氷河期に生きていた7人の女性[関連書、邦訳『イブの7人の娘たち』ソニーマガジンズ刊]の子孫だという説が出ている)。

 ではなぜ、この変異はこれほど長きにわたって、消えることなく生き延びたのだろう? 研究者たちは当初、この変異はヨーロッパで黒死病と恐れられた腺ペストにも耐性をもたらすものと考えていた。この変異を持つ人たちは、周囲の人たちが死に絶える中、より長生きし、より多くの子どもをもうけたはずだ。この変異が何百年も後になってHIVにも免疫をもたらすようになったのは、単なる偶然だろうというわけだ。

 このペスト説は今ではほぼ退けられ、死に至る別の疫病が原因として浮上している。「天然痘のように、中世のころからずっと流行してきた病気……のほうが可能性が高い」というのは、イェール大学のアリソン・ガルバニー教授だ。同教授は2003年に、この遺伝変異と天然痘との関連を指摘する論文を共同執筆している。

 ガルバニー教授によると、ペストは一時流行したもののその後廃れたのに対し、天然痘は20世紀に入っても感染が続いていることからして、問題の遺伝変異が生き延びてきた理由としてはより有力なはずだという。天然痘への耐性であれば、短期間で終わった一度の流行ではなく、何世代にもわたってこの遺伝子が人の命を救ってきたことになるからだ。

[日本語版:長谷 睦/小林理子]

WIRED NEWS 原文(English)




国際金融資本と軍産複合体に関する考察

http://seikei344.blog34.fc2.com/blog-entry-161.html

米国を支配する勢力は、「軍産複合体」、「国際金融資本」、「キリスト教右派」、「ネオコン・イスラエルロビー」で構成されていると言われている。しかし、こうした各勢力グループの意思が、米国の二大政党制においてどのように現れているのかと言うと、共和党に富裕層、民主党に弱者・貧困層が多いという違いから影響を受ける以外については、その支持基盤と政策に大きな違いが出てこないと言われている。つまり、二大政党どちらについても、政治献金の構造が大きくは変わらず、政策が大体一貫しているということであり、アメリカの戦争経済と金融経済の運営方針については大差が出てこないだろうと考えられている。

一方、米国は、中東政策の失敗に連動してドル基軸体制の崩壊という危機を迎え、帝国主義経済の衰退が始まっているという世の論調が強くなっている。こうしてドルが下落していくと、米国債の引き受け先の確保が難しくなって、公共事業の実施も戦争の遂行も難しくなるだろう。新通貨AMEROの発行という噂もあるが、仮にこれが本当だとして、日本に引き受けさせている米国債を紙屑にして借金を棒引きにしたとしても、その後誰が米国債を引き受けてくれるのだろうか。

日本国内では政府紙幣の議論が十分にできないが、米国ではFRB解体と政府紙幣発行の話もあるという。これは可能なのだろうか。もしかすると本当に、日本に債権放棄に近いことを強いると同時に、実質的にFRBは解体されるのかもしれない。もしそうだとすると、米国通貨は継続的に価値が下落していくから、もはや米国に投資したいと思う人は居なくなるのではないか。国際的な資本の集中は米国においてはなされず、経済の衰退を回避できない。しかし米国内の資本偏在は是正されて貧富は是正され今よりは平和な社会になるのかもしれない。

オバマ政権は、民主党的で保護主義的でケインズ主義的なグリーン・ニューディール政策を推進するという方向性を目指しているとされている。しかし、その献金構造と閣僚の配陣から見て、これまでの軍事ケインズ主義を転換することは本当に可能なのだろうか。米国がその衰退と帝国の崩壊を座して待つとは思えない。アフガンへの戦力集中を進めるほか、アジアの緊張を高め、日本や台湾を軍事システムの市場拡大の受け皿にするべし――という意見があるが――こうして帝国の保全を図ろうとするのではないのだろうか。

国際金融資本が、その投資ポートフォリオを改善すべく、資金を早々と(衰退する)米国から引き揚げて(浮揚する)中国に集中していきたいと考えているとするならば、軍産複合体を基礎とする米国の国益保護勢力とは利益が相反するように思う。米国にいつまでもドル基軸体制保持にしがみつかれてしまっては、人民元への投資がし難くなるように思う。国際金融資本と軍産複合体は対立しながら、米国の運命を決めていくように思える。しかし、オバマ政権の立つ位置はどこなのかは、よく分からない。国際金融資本の意思通り帝国を衰退させるのか、軍産複合体の意思を受けて軍事的緊張を高めたり第三次世界大戦を誘導しようとするのか、巷には様々な識者の意見が存在するが、納得できるような論理と結論が無いようにも思える。よく事実を見極めて、慎重に動向を見守っていきたい。

(以下、貼り付け)

『世界最強の帝国主義国家である米国を実質支配しているのは以下の5つの勢力です。 ▽1)軍産複合体: 世界最強の軍隊、諜報機関、軍需産業、エネルギー産業などが一体なって政治、経済、金融、マスコミを支配 (いまや最大の敵対勢力) ▽2)ユダヤ金融資本:ロスチャイルドとロックフェラーが支配する大手金融機関 (今回の金融システム破綻で相当のダメージを受けた) ▽3)ネオコン:米ソ冷戦終結の後の世界支配戦略を「対テロ戦争」と「市場原理主義」と規定。アフガニスタン、イラク戦争を主導 (共和党と民主党政治家、軍人、諜報機関員、シンクタンク、マスコミ) ▽4)キリスト教右派:ダウィンの進化論を否定し旧約聖書の「世界最終戦争後キリスト復活」を信じるキリスト教原理主義者 (全米で約4,000万人) ▽5)イスラエルロビー:イスラエル国家の存続を至上目的とする米国在住のユダヤ人ネットワーク (イスラエルとの緊密な連携で米国議会とマスコミに強力な影響力を持っている)』(JanJanニュース、2008/11/09)

『共和党は大企業・軍需産業・キリスト教右派・アメリカ中南部の富裕層の保守的な白人層を代弁する政党である。基本政策として対外的には特にネオコンに見られるように武力を用いた民主化も辞さない介入主義を、国内では経済面で市場原理主義・新自由主義の立場を取り環境問題や福祉政策よりも経済効率や大企業の利益を重視する。』(Wikipedia「共和党」)

『経済政策に関しては国内の貧困層や弱者,中小企業を救済するため、自由貿易主義を主張する共和党とはやや一線を画す国内産業保護主義を取る。・・・(中略)・・・外交関係では国際連合(国連)を重視し基本的には国際協調主義を取る。しかしコソボ空爆などの例がある様に先進各国の協力が取り付けられれば国連を無視した武力行使も辞さない。・・・(中略)・・・中東問題に関しては、共和党と同様にイスラエル寄りのスタンスを示す党員が多い。』(Wikipedia「民主党」)

『米国の民主、共和の二大政党が、財界が後押しする政党という点で変わりないのは、政治献金の流れをみれば明白です。▽米民間団体コモンコーズの調査によれば、二〇〇一-〇二年の大企業からの「ソフトマネー」(連邦選挙運動法の抜け穴を利用して政党に提供される資金)と呼ばれる政治献金は、与党・共和党に56%(二億二千万ドル)、野党・民主党に44%(一億七千万ドル)が配分されています。軍事・宇宙産業からの献金は、ほぼ同額です。・・・(中略)・・・大企業に支えられた二大政党が、戦争と平和の大問題で違いがないことは、一昨年の9・11対米同時テロ以降の米国政治をみれば明らかです。』(しんぶん赤旗、2003年10月24日)

『オバマ大統領がFRB(連邦準備制度)を解体し、国立合衆国銀行の創設しているという情報があります。(参考記事)http://www.whatdoesitmean.com/index1199.htm』(IIO株式投資クラブ主催者のブログ、2009-02-03「オバマ大統領がFRB(連邦準備制度)を解体!?」)

『・・・米軍自体が活動を縮小に向かわせるとなると、新たな軍事システムの買い手がどうしても必要になります。・・・その買い手となるのは、米国の半属国であり、米国に決して逆らわない国、しかも、ある程度、お金を持っている先でなければなりません。・・・そうです。日本です。・・・日本しかその買い手となる国はない。他に可能性のある国がありますか?・・・(中略)・・・米国政府が中国寄りになり、中国が経済力をつけると彼らは必ず軍事力の強化を拡大を図ります。それは台湾・日本にとってはそのまま軍事的脅威となります。・・・返す刀で、米国は日本に対し、自主防衛力増強のための自衛隊装備の拡充を要求します。』(ブログ「とらのこども・超克編」、Nov 16, 2008)

アフガニスタン援助の実態:巨額はどこへ消えるのか

Nathan Hodge

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画像は米国国防総省

米国国際開発庁(USAID)は2009年初め、『コミュニティ安定化プログラム 』(Community Stabilization Program)から手を引いた 。このプログラムは、6億4400万ドルの資金を費やして、イラクで仕事や公共事業を作り出すというものだった。


このプログラムは本来、若い(つまり、戦闘が可能な)現地の男性たちに、仕事を与えたり職業プログラムに参加させたりすることで、彼らが反政府活動に参加するのを防ぐはずだった。だが、数千人のイラク人たちがゴミ拾いや壁にペンキを塗る仕事でお金を稼げるようになった一方で、このプログラムは不正行為を招きやすいものだった。バグダッドにいるUSAIDの監察長官は、2008年3月の監査で、数百万ドルの資金が反体制派によって吸い取られた可能性がある、との懸念を示した


このことはアフガニスタンにもあてはまる。コミュニティ安定化プログラムの運営パートナーとなっているInternational Relief & Development(IRD )は、アフガニスタンでも活動しており 、道路建設プロジェクトや農業プログラムを監督している。このプログラムは扱う範囲が非常に広く、説明責任が明確にならないので、他の団体はUSAIDへの入札を控えたとされている。


Joanna Nathan氏は、『Foreign Policy』紙(電子版)の記事 で、米国が現地の開発事業をアウトソースするやり方は、非常にネガティブな結果になりうると指摘している。


「現地に建てられた豪華な新築の邸宅を、米国の土木業者や国連機関、大使館、それに法治プロジェクトを請け負う団体などが1ヵ月あたり数千ドルで借りているとしたら、説明責任を果たすという欧米の公約はいったいどうなるのだろうか」とNathan氏は批判する。「アフガニスタンの人々が腐敗について話すとき、それは完全に合法的な援助 のことを意味している可能性がある。民間の請負業者らによってアフガニスタンで使われている数十億ドルのお金の大半は、何段階もの下請け業者を経由する中でほとんど失われ、現場には実質的効果をほとんどもたらさないケースが大半だ、という話だけがアフガニスタンの人たちの耳に入っている。このような状況では、どのような契約が交わされていようが、それは腐敗と見なされる」。さらに、援助によって政府高官の縁者が富む状態も、アフガニスタンの人々を怒らせているという。

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カブールにある高級レストランL'Atmosphere Kabul の写真

一方、New America Foundation のPeter Bergen氏とSameer Lalwani氏は、『New York Times』紙(電子版)10月2日(米国時間)付けの記事 で、アフガニスタン政府に支払われた数十億ドルもの対外援助資金は、コンサルタントたちに払う給与や諸経費の形で、あっという間に、援助を行なった国に還流していると指摘している (PDF)。


一般のアフガニスタン人は、SUV車であちこちを見て回る外国の開発コンサルタントの姿は大勢見かけるものの、ほとんどの場合、開発企業がやって来たことによる実質的なメリットはほとんどないという。


また、米国はこれまで、アフガニスタンの治安部隊に対する訓練と装備に165億ドルを費やしているが、アフガニスタンが治安部隊を自前調達できるにはほど遠い状態だ。


Bergen氏とLalwani氏は、アフガニスタンに利益をもたらすための斬新なアイデアを提案している。それは、アフガニスタンに税金を支払うという条件で、開発業者と契約するというものだ。「現在、[アフガニスタン]政府の税収は合計で3億ドルほどだ。外国からの技術援助は推定で年間16億ドルほどあり、これに税金を課すだけでも税収を倍にできる」と両氏は述べている。


しかし、援助活動家や支援企業がこのアイデアを喜んで受け入れるとは思えない。彼らはすぐにこう言って批判をはねつけるだろう――われわれは世界を救うことで手一杯なのだ、と。植民地支配と似たようなライフスタイル も、待遇の一部だと考えられている。

{この翻訳は抄訳で、別の英文記事 の内容も統合しています}

[日本語版:ガリレオ-佐藤 卓/合原弘子]

WIRED NEWS 原文(English)