のり子は,小学校2年の視力検査で0.6の近視と判定され、視力回復治療を開始した。
だが、その効果がなく、小学校5年になって、0.2まで視力減退したので、メガネを
かけることにした。
メガネをかけて1.5が見えるなんて、のり子にはこれまで目がよい時でも見えない世界だったから感動が大きかった。
クラスでのり子は初めてのメガネ女子なので、級友はのり子を「メガネザル」
と呼んでいた。だがのり子は平気だった。
小学校6年になって、クラスの10人で、バリアフリー体験住宅へ行って、解説員
からの説明で、「メガネも身体を補強する器具ですよ。この中では少ないようですね」。と言うと、のり子は、メガネを外して振りかざし「ワタシよお!」叫んだ。
その後、のり子の目が悪くなり続き、中学校1年で視力が0.1を切ってメガネを
新調した。この時、のり子は「私は本当の近眼になったんだわ」と思った。
高校へ入学すると、視力が0.05となり、メガネレンズが分厚くなった。
高校2年の時に、保育園へ体験見学に行った時、園児から
「メガネを外した顔が見たい。メガネ取ってえ!」と言われて、メガネを外した時、
「私には素顔とメガネ顔があるんだ。でも私はメガネ顔が素顔だと思っている。
と実感した。そして、メガネの女性としていきる決心を新たにしたのだった。