谷山講師が以下の記事で書いている「基本事項」と「応用事項」の見極めは,非常に重要です。前の記事で書いた「大外し」をしないということも同旨です。
重要問題習得講座において典型問題を繰り返すのは何のためなのかといえば,「基本事項」について正確かつ迅速に処理できる力を培うと共に,「基本事項」と「応用事項」の見極めの判断基準を養うためです。
再現答案を見ていると,「ここは普通に条文指摘して,論証展開して,あてはめればいいだけなのに」という部分を,やたらとこねくりまわしているものに出会います。そして,そのような答案は,大概低評価を受けています。
どうしてそのような答案になってしまうのかといえば,おそらく「基本事項」が「応用事項」に見えてしまうためです。「基本事項」を「基本事項」だと認識できないから,何か難しいことが問われているのではないかと勘ぐってしまい,妙にこねくりまわしてしまう。
そうなってしまうと,「基本事項」を正確かつ迅速に処理できないためにその部分の点数を落とし,さらには,本来時間をかけるべき「応用事項」の検討に時間をかけられないためにその部分の点数まで落とす。こういう事態に陥ってしまいます。
平成28年の予備試験の論文問題でいえば,ほとんど「基本事項」で片付くものでした。「基本事項」を「基本事項」だと認識し,正確かつ迅速に処理できれば,十分合格点がついたはずです。
例えば,刑法では,「甲宅と乙宅の距離が約2キロメートル離れて」いる点をどう処理するのかは「応用事項」だといってよいと思いますが(細かいところでは中止犯成立の場合の他の共犯者への効果も「応用事項」といえますかね。),他は全て「基本事項」です。
また,少し話がズレてしまいますが,この時期に百選の解説を読む必要があるか?と質問されることがあります。
それが,「基本事項」に関するものなら,読む必要があります。具体的には,(論文頻出の)判例の事案と判例の処理(論理)です。
ただし,これらはこの時期に改めてインプットするというものではなく,予備校の講義や教科書などですでにインプットが済んでいるというものだと思います。そのため,読むとしても,確認程度ということになるでしょう。そして,確認程度に読むくらいなら,演習問題を解いて,その解説で判例知識を確認した方が効率的で点数に直結すると思われるので,結局「必要ない」という結論になります。
これに対して,「応用事項」に関するものならば,そもそも読む必要はありません。具体的には,判例に対する批判説,新たな問題提起などです。
結局,勉強は,試験で点数を取るため,合格するためにするものなので,本当にそれに繋がっているのか,正に谷山講師がいうように「目的」が何なのかをしっかりと認識しておくことが重要なのではないかと思います。
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