論文パーフェクト答練を終えて | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

今週末で,10月からスタートした論文パーフェクト答練プラスゼミが終了しました。


毎週30人~40人の答案を見てきたので,本記事で総括してみたいと思います。

これから全国模試を受験するという方が多いと思いますので,参考になる部分があれば,参考にしてみてください。


①【安定的に合格点がつく答案】

・基本事項だけで点数が取れる部分(典型事案,典型論点)についての論述の正確性が高い

・応用論点や未知の論点などで問題の所在を外すことはあるが,基本事項の論述の正確性はブレない

・応用論点や未知の論点について,問題の所在を示すことができている確率が高い(基本事項からの推論,既知の論点からの応用という発想が身についている)

・必ず最後の設問まで書き切っている


②【浮き沈みが激しい答案】

・基本事項だけで点数が取れる部分の論述についての正確性が区々

・応用論点や未知の論点などに引きずられて,基本事項の論述の正確性が下がる(ex.設問1が難しく設問2が簡単という場合に,設問2の論述までいい加減になる)

・応用論点や未知の論点について,問題の所在を示すことができている確率が低い

・(実質的な)途中答案(尻切れトンボ答案)になることがある


③【点数が伸びない答案】

・基本事項だけで点数が取れる部分の論述についての正確性が低い

・応用論点や未知の論点などに引きずられて,基本事項の論述の正確性が下がる

・応用論点や未知の論点について,問題の所在を示すことができている確率が低い

・ほぼ毎回(実質的な)途中答案

・テクニカルな答案(ex.判例の事件名をあげて本件との事案の異同を論じている(が,その論述が不正確))となっていることが多い

・問題文の些細な事実に着目して論点化する


実は,ゼミで毎回優秀答案になるような人(①タイプ)も,応用論点や未知の論点については結構外しています。これは,実際の司法試験で,超上位答案でも出題趣旨を外している部分がかなりあることと,通じているように思います。

一方で,基本知識のみで点数を取れる部分は必ずあるはずで,その部分はオーソドックスに論述し,しっかりと点数を稼いでいます。また,そのようにして,時間を浮かせることができるので,最後の設問までしっかりと書き切っていることが多いことも特徴の一つとして挙げられると思います。


これに対して,毎回点数が伸び悩む人(③タイプ)は,基本知識のみで点数を取れる部分を外していることが多いように思います。確かに,事実の引用や評価などでは頑張っているのですが,法的な枠組み自体を外してしまっているので,なかなか点数に結び付きません。

また,オーソドックスに書けばいい(ex.論証を貼り付ければいい)部分について,あえて判例の事件名をあげて射程を論じるなど,テクニカルな答案となっていることがまま見受けられるのですが,そのような場合に限って,判例を誤解していたり,問題の事案の違いをしっかりと捉えられていなかったりして,印象も悪くなってしまっています。

さらにいえば,そのような答案であるがために,無駄に時間をロスし,最後の設問については実質的な途中答案になってしまっていることも多くあります。


浮き沈みが激しい人(②タイプ)は,その中間といった具合で,合格答案になることもあれば,不合格答案になることもあります。


したがって,結局意識すべきは,


1 基本事項だけで点数を稼げる部分をできる限り外さない

2 応用論点や未知の論点については,問題の所在を示すことだけに集中する

3 1つの設問にこだわるのではなく,全体について万遍なく書く。(そのために,1のような問題(基本事項だけで点数を稼げる問題)については,できる限り素早く処理をする)


ということです。②タイプ,③タイプの方は以上の点に留意して,残り2ヶ月間の学習を進めてみてください。