【採点実感】論文パーフェクト答練実戦編公法系第2回 | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

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資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

第1 法令違憲について


1 権利性と制約

・販売業者の表現の自由を選択する答案が多かった
・販売業者の表現の自由,未成年者の知る自由,成人の知る自由を全て分けて書いていた答案があったが,分量のバランスの関係から,ある程度まとめて書いた方がよい
・営業の自由のみを選択する答案があったが,Aの主張としてはあまりに弱い
・営業の自由のみを選択しつつ,成人や青少年の知る権利に資するとし,比較的厳格度の高い審査基準を導こうとする答案があった
→最初から,表現の自由を選択すればよいのでは?
・Aの主張で,第三者の主張適格の問題を論じている答案があったが,Aとしては当然に主張できるという前提で議論を組み立てるだろう


2 審査基準
・多くの答案が,内容規制であること,事前(的)規制であること,わいせつ表現であること等の諸点を争点とすることができていた
・未成年者の知る自由,成人の知る自由とで,制約態様が異なることを指摘できた答案は少なかった
・有害図書類の芸術性を問題としている答案があったが,少なくても本件はその点が争点となる事案ではない


3 あてはめ
・平成元年判決と平成21年判決の異同として,購入の心理的容易性,時間的容易性は共通するものの,購入意欲の刺激と販売過程の危険性の点において異なることを指摘できていた答案は無かった
→今回を機に覚えておけば十分
・実質的な対面販売に当たるか否かという点を,法令違憲の中で論じている答案があったが,本件事実関係からするとそれは苦しいだろう


第2 適用違憲について
1 判断枠組み
・ほとんどすべての答案が適用違憲を論じていたが,そもそも文言の限定解釈を試みる答案が少なく,限定解釈する文言を適切に選択できた答案はごくわずかだった(ex.「21条1項の規定に違反した者」(条例34条3項1号)を限定解釈するという答案)
・条文の限定解釈を試みている答案でも,検察官の反論のポイントを定められていないものが多かった


2 あてはめ
・A,検察官の主張の対立点を明確にできた答案は少なかった
→運用面において,青少年に有害図書類を販売する危険性はほぼ無いと考えられるから,その点を前提として,それでもなお刑罰法規を適用すべきかが問われている


【第2問(行政法)】


第1 設問1
1 訴えの利益を否定する立場
・処分の効果が失われた後に,例外的に回復すべき利益が存在するかという観点から論じている答案があったが,本件はそのような事案ではない
・更新処分の手続上の違いや優良運転者である旨の記載による法的効果の有無(否定する立場からは,法的効果が無いこと)に触れ,事実上の利益にすぎないと述べることができた答案は多かった
→権利義務に対する影響が無いことまで触れられるとさらに良かった


2 訴えの利益を肯定する立場
・優良運転者であるとの記載を行っている目的を正しく理解できている答案は少なかった
→改正の経緯を述べて,だから法的利益になると結論付けるだけでは不十分
・単に法改正の経緯を,訴えの利益を否定する立場,肯定する立場から評価する答案があったが,それでは不十分
・ポイントになるのは,優良運転者の記載が無い免許においても,権利義務への実体的な変動は無いことを前提としつつ,それを立法的選択の見地から,「法的地位」と構成しうるか否か
→単に,手続上優遇されることが法的地位である等といった理由で,「法的地位」を認めることは困難


第2 設問2
・申請型義務付け訴訟ではなく,非申請型義務付け訴訟を選択する答案があった
→設問1のような事例の場合には争いがあるが,設問2のような事例の場合には争いが無い
・申請手続きが不適法であることを前提に,訴訟要件の検討をする答案があったが,誘導に反する
・不可償損害の解釈論,事実の適示・評価で点差がついた


第3 設問3
・無効事由の検討(重大明白な瑕疵の有無)がなされている答案自体が少なかった