論パの採点者格差調整について | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

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資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

掲題に関して,目安箱等でかなりお問い合わせ(ご要望)を頂くので,ここでお答えしておこうと思います。

結論からいうと,論文パーフェクト答練では,分析編・実戦編共に採点者間の格差調整は行いません。

理由は以下の2つです。

第1点は,スパルタ添削と通常添削の二種類の添削が存在することです。
採点基準が異なるので,格差調整を行うと,かえって受講生全体の中の自分の順位を不明確にしてしまうという問題があります。

なお,スパルタ添削については,廃止の是非も巡ってかなり内部で議論しましたが,全体における位置づけより,現時点における実力及び改善点を把握したいとのニーズが一定程度あると判断し,存置することにしました。もちろん,昨年度頂いたご要望・ご批判に対しては,スパルタ添削を依頼する添削者を選別する,設問ごとの達成度がわかるような採点基準に修正するなど,可能な限り対応しています。


第2点は,添削者1人当たりの添削通数と法務省が発表している採点格差調整の方法との関係です。

法務省の採点格差調整の算式によると,簡単に言えば,司法試験では,ある採点者が行った採点全体から,その採点者が採点した受験者の平均点を算出し,その平均点をもって採点者全体の格差を調整していることになります。

この算式によると,例えば2通か3通だけ添削を希望するという添削者に,偶然にも出来のいい答案が割り振られ,高得点が付けられた場合に問題が生じてしまいます。つまり,当然ながらその添削者が添削した受講生の平均点は高くなるので,格差調整において,その添削者は「高得点をつける添削者」として性格付けられてしまいます。この場合,受講生全体の中でも本当に出来が良かった受講生について,高得点をつける添削者に当たったが故に高得点がついたのだという位置づけがなされ,格差調整の結果,偏差値が下がってしまうという事態が起こりえます。

一方で,LECでは,添削者を(新)司法試験合格者に限定していますので,添削可能通数が少ない添削希望者に対しても,添削を依頼するという内部処理を行っています((旧)司法試験合格者にまで添削者の資格要件を拡大すれば,添削可能通数が少ない添削希望者に対しては添削を依頼しないという対応が取れるのですが,要件を緩和することは望ましくないとの政策的判断からこのような内部処理を行わざるを得ないのです。)。さすがに2,3通の添削を希望する方にはお願いしていないので,上記の例は極端なものですが。

上記格差調整の方法とLECの内部処理の方法が結合すると,やはり適切な格差調整を行うことができず,受験生全体の中の自分の順位を正確に把握したいという受講生のニーズに応えることはできません。

要するに,法務省の採点格差調整は,採点者1人当たりの採点通数がかなり多いことを前提として組み立てられていますので,現状ではそれをそのまま用いることはできないということになります(かといって,LEC独自の格差調整の方法を採用してしまっては,格差調整の意味がありません。)。

もちろん,全国模試については,受験生全体の中における自分の順位を正確に把握することが重要な目的の1つだと思いますので,添削の種類を通常添削に一本化し,格差調整を実施します。
確かに,第2点のような問題を完全に払拭することはできないのですが,全国模試の方が論パに比べて受講者が多く,自然と添削者1人当たりに依頼する答案の通数も多くなるので,そこまでの重大な疑義は生じないかなと認識しています。

以上の点について,ご理解頂いた上で,論パ(及び全国模試)をお申込みいただければ幸いです。

なお,論パ・全国模試等の詳細は,6日にLEC司法試験ページにアップします。また,パンフレットについても,同日以降順次各支店に納品されますので,もうしばらくお待ち下さい。