前回の話は、「教職は聖職だ!」なんていう価値観からは真逆のものだが、言い方を変えると、偏差値という統計に基づくデータで相対評価という制約を踏まえつつ徹底した進路指導を行っていたということになる。
そもそも偏差値を開発した動機というのが、「勘と相場観に依存した進路指導を排除する」ことが目的であったから、開発者の桑田氏がデータの充実を図るために近隣中学と連携を図った時にも諸手を挙げて歓迎された。そして、進学研究会が偏差値のうわさを聞きつけてきて自社の模試に取り入れることで、統計に基づく科学的な進路指導が東京都内で可能となった。
※当時は、模試会社が公立中学に出入りしていて、どこの中学でも「業者テスト」と称して授業時間内にテストを行っていた。私も受けた。
仮に、桑田氏が偏差値で特許を取っていれば、とんでもない富豪になっていたに違いない。
さて、偏差値発明以前から、伝統校から新興校と、格付けが存在した。
そして、その格付けが難易度と連動していたのはご想像の通り。
さて、氏が都内私立高校を分析した結果によると、私立高校の場合、受験者平均偏差値から合格者が出る傾向であり、合格者平均偏差値と受験者平均偏差値は大して乖離しないことから、
学校偏差値は、受験者平均偏差値で格付けするのが適当
と結論付けている。この人がそのように語っているのだから、全国の模試すべて同じ考えで作られていると思って問題ないと思う。
で、実は著者はまずいと思ったからデータの提示だけにとどめているのだろうけど、合格者偏差値と入学者偏差値の違いも受験生の親としては解釈しておく方がいい。
入学者の中では受験者平均偏差値を持っていれば、入学時は既に上位層ということが分かる。
合格者がいないはずの偏差値帯から入学者が出ているというのは、推薦入試で別枠入学しているからと考えられるだろう。大阪名物事前相談も、同じ文脈で解くといいと思う。
私立高校の入学者偏差値は、学校偏差値よりもー1~2低いと考えたほうがよさそうだ。
地域差、時代差はあるが、現在でも同等の傾向と推察できる。
※馬渕や五木は把握しているはず。