いま、大阪には公立中高一貫校が3校ある。

 

旧大阪市立咲くやこの花中学校
旧大阪市立水都国際中学校
大阪府立富田林中学校

 

この3校だ。

 

旧大阪市立の二校は、進学以外に特徴を持たせた学校で、東京や京都などの他都府県に多い進学志向の学校とはタイプが違う。

 

ところが、大阪府立として唯一設置された富田林中学校は、まぎれもなく進学志向の学校だ。中学校開設の時には、OBが非常に熱心な運動をしたと聞いている。

 

昭和48年から平成18年まで続いた9学区制の時代、この中学の母体である富田林高校は生野高校に次ぐ第7学区の二番手校だった。

 

そして、中学第一期生が今年の春卒業した。

 

 

 

高入生と合わせた進路はこうなった。

 

 

 

京都大2名、阪大11名、神戸大6名現役合格という実績は、素晴らしいと思う。

 

 

さて、大阪府が都合のよいときに比較対象とする傾向にある東京都。特別区ではなく多摩地区の中高一貫校の状況を書いてみよう。

  • 都立中等教育学校
    • 小石川中等教育学校
    • 桜修館中等教育学校
    • 立川国際中等教育学校
    • 南多摩中等教育学校
    • 三鷹中等教育学校
  • 併設型(都立中学校+都立高校)
    • 白鷗高校・附属中学校
    • 両国高校・附属中学校
    • 武蔵高校・附属中学校(御三家武蔵高校とは別)
    • 富士高校・附属中学校
    • 大泉高校・附属中学校
  • 区立中等教育学校
    • 千代田区立九段中等教育学校

中等教育学校と併設型に分かれた経緯はきちんとは調べていないが、発足当初から高校募集をしていない学校が中等教育学校になった。23区内に集中した併設型は多くが近年まで高校募集もしていたが、はっきり言うと、下位校の進学実績は高校だけの時の方がよかったかもしれない。

結局、東京都は併設型を再評価して、高校での募集を昨年度限りですべて取りやめた。

6年後の結果はだいぶ変わっていると思う。

 

ところで、立川国際と南多摩、三鷹、武蔵はすべて東京の多摩地区という市町村がある地域にある。

富田林と同様、かつての田舎学区の二番手校と言ってよい。

この地域の高校一番手は、国立高校と立川高校で、この二校は自校問題作成校となっている。

 

2023年結果 東京 慶応 早稲田 3学計 定員比 定員
高校単独 国立 19 83 151 253 100.0% 253
立川 1 20 40 61 27.5% 222
一貫校 都立武蔵 11 26 53 90 56.3% 160
三鷹 5 27 38 70 43.8% 160
立川国際 3 13 41 57 43.8% 130
南多摩 2 13 10 25 15.6% 160

 

国立が優秀すぎて笑ってしまうのは横に置くけど、定員比で見ると一貫校も捨てたものじゃないことが分かる。

 

この都立一貫校の興隆の陰で、多摩地区では私立の新興一貫校の偏差値が崩落している。

 

東京都教育委員会は中高一貫校が私立学校の経営に与える影響を全く考えていない。私立学校は教育委員会の管理監督下にある訳でもないので、全く無視。旧学区に一貫校を1~2校配置している。

 

 

こうやってみると、富田林中学校はかなりの可能性を秘めていると言えると思う。

田舎の高校で二番手というのは、東京で実績を上げている学校と共通している。

 

でも、京都や奈良県、兵庫県とも違って、なぜ大阪府は公立一貫校には全くと言ってよいほど興味を示さず、私立高校への補助ばかりを行うのだろうか。

 

これって、「民意」=「下々のことは知らんけど、選挙でえらばれた代表者の代表の考えが民意」という、いつものご都合主義だよね。

 

だから、大阪は正統派右翼からは嫌われる。都立高校の学校群制度をつぶした石原慎太郎だって、はっきり言ってたじゃないか。

 

この15年ほどで起きた教育関連の出来事を思い出してみると、大阪市の公立幼稚園全廃方針、右翼小学校事件(なんであんな奴が小学校の設置認可とれた?)、高校入試への英検導入、客観的事実だけを見れば、まあ関連業界が潤うようなことばかり起きております。

 

文理学科の設置ではったりを利かせた陰で、就学人口の減少と共に定員割れ校をどんどん閉鎖し、結果としてその定員を補助金付きで私立学校に回しているという現実。3年後には所得制限も撤廃して4年後の選挙に俺の功績だと言って臨もうという姑息なやり口。

 

そして、そんなに民営化が大好きなら、いっそのこと府立高校も民営化して、それこそ馬渕教室附属北野高校でも作ったらいいんじゃないですか。府県境の制約もなくなって、灘をも超える、すごい進学校になると思うよ。

 

意図的かどうかは知らんけど、茨木、豊中とか春日丘高校など北摂の上位校では、相も変わらず大量の不合格者を垂れ流している。作為か無作為か知らんけど、これで潤うのは、私立学校だよね。

 

結果として、大阪では経営努力せずとも事前相談で補助金を鴨葱のごとく背負った生徒が私立高校にやってくるから、大部分の高校は旧態依然とした経営をしているだけ。進学志向の高校がどんどん高校募集停止しても、そっち方面への努力をする学校なんてほとんどない。

 

個人的には、西大和学園には吹田に分校を作ってほしいと思ってるよ。大和大学付属でもいい。この現状に喝を入れるために。政治力あるからできるでしょ。

 

東京の私立学校は、都立一貫校の影響で特色を出さないと生き残れないと尻に火が付き、ずいぶん変わった。かつては低偏差値の女子校だった渋谷女子高校が、いまや有名進学校の渋谷学園渋谷高校に進化したし、同様に底辺に沈んでいた中延女子が自校作成都立受験の定番併願校である朋優高校へと変貌した。偏差値40だった洗足学園も、高校を整理して川崎市内の学校に一本化し、いまや洗足学園高校は超進学校だ。

 

大阪府政も、もっと積極的に東京の真似をしたらどうだろうか。

 

春日丘高校なんか、公立中高一貫にするにはちょうどいい学校と思うけど。

学区での位置づけも、全く同じだったからね。

 

北摂の皆さん、北摂にも一貫校を誘致してはいかが?

 

大阪で全く存在感がない保守政党や左派政党の皆さん、教育は有権者への訴求ありますよ。