子供の時のことを思い出してください。

皆さんは、子供の時、テレビの戦隊モノやアニメの主人公たちの決まり文句をまねたり、お父さんやお母さんの口癖をまねたりした記憶はないでしょうか。

ちょっと大人っぽい話し方も、テレビや周りの人たちから耳を通して聴いて覚えたのではないでしょうか。

それに、ほとんどの日本人が不自由なく使う「てにおは」の助詞ですが、これだって、幼稚園や小学校で習って覚えた、なんていう方は、健聴の方にはまずおられないと思います。

日本に住んでいれば、普通は耳から聞いて覚えるのが、母語である日本語です。

ところが、聾児は明瞭な聞き取りができませんから、耳を通じて覚えるということが期待できません。

しかも、聾学校に通わせた場合、幼稚部の間は母親たちのおしゃべりを耳にする機会があるのでまだよいのですが、小学部に上がった途端、健聴者は先生だけという世界になってしまうので、周囲の会話から言葉を獲得する環境ではなくなってしまいます。

普通の子供たちが耳から覚えてしまうことへの代替手段を考えざるを得ませんでした。