撞賢木厳之魂天疎向津比売命
つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと

​『天照大御神(あまてらすおおみかみ)』の、もう一つのお姿​であると、『日本書紀』には記されています。より正確に言うと、天照大御神が持つ、二つの側面のうち、荒々しく、力強い、活動的な側面である『荒魂(あらみたま)』を指す、別名なのです。

ね。
もうどなたかおわかりですね(笑)。

​◆ この名前が持つ、壮大な意味
 ​この非常に長い名前は、いくつかの言葉が組み合わさって、その神様の性質を表現しています。

★ 撞賢木(つきさかき)
 ◇ 『槻(つき)』と『賢木(さかき)』という、二つの神聖な木を意味します。神様が依り代(よりしろ)とする、神聖な植物の象徴です。

​★ 厳之御魂(いつのみたま)
 ◇ 『厳(いつ)』は「神聖な、威厳のある」という意味。『御魂』は、神様の御霊(みたま)そのものを指します。
 ◇ つまり、「神聖な木に宿る、威厳に満ちた御霊」という意味になります。

​★ 天疎向津比売命(あまさかるむかつひめのみこと)
 ◇ これが、この神様の、非常にダイナミックな性質を表しています。
 ◇ 『天疎(あまさかる)』は、「天から離れる、遠ざかる」という意味。
 ◇ 『向津比売(むかつひめ)』は、「(何かに)向かっていく女神」という意味です。
 ◇ これらを合わせると、「天から離れて、(目的の場所へ)向かっていく女神」となり、まるで『流星』のように、天から地上へ、強い意志を持って降りてくる、活動的な神様の姿が目に浮かびます。

​◆ 結論として
​この神様の名前は、全体として、​『神聖な木に宿る、威厳に満ちた御霊であり、天から地上へ、流星のように強い意志を持って向かっていく女神』
​という、非常にパワフルで、ダイナミックな神性を示しています。

​この神様は、『日本書紀』の中で、神功皇后の三韓征伐の際に、神託を下して、その遠征を勝利に導いた、非常に重要な存在として描かれています。

そして、その神託に従い、神功皇后が最初に祀ったのが、現在の兵庫県西宮市にある『廣田神社(ひろたじんじゃ)』であるとされています。

祓戸の神『瀬織津姫』ですね!
​まさに、日本神話の核心に触れる、非常に重要な神様の、特別なお名前なのですね。