
『クリスコ(Crisco)』この商品は、20世紀のアメリカの食文化を根底から変えた、非常に画期的な発明品でした。
P&G社が開発し、1911年に発売した商品です。
その正体と歴史的背景を解説しますね。
◆ クリスコの『正体』:世界初の『植物性ショートニング』
一言で言うと、クリスコは「植物油を、化学的な処理(水素添加)によって、常温で固形にしたもの」です。
★ ショートニングとは?
◇ お菓子やパン生地に混ぜ込むことで、サクサク、あるいはホロホロとした食感を生み出す油脂のことです。この性質が、グルテンの繋がりを短くする(shorten)ことから、ショートニングと呼ばれます。
★ 何が画期的だったのか?
◇ ① 動物性から植物性へ:それまで、ショートニングや調理用油脂の主役は、豚の脂である『ラード』や牛の脂である『ヘット』といった動物性の脂肪でした。クリスコは、当時余剰気味だった『綿実油(めんじつゆ)』を原料に、史上初めて、100%植物由来の固形油脂として登場しました。
◇ ② 品質と安定性:動物性脂肪に比べて、クリスコは匂いがなく、日持ちがして、品質が常に一定でした。これは、工業製品としての大きな強みでした。
◆ なぜP&G社が開発したのか?
P&Gは石鹸とロウソクの会社でした。その原料は、主に動物性油脂です。
しかし、当時、精肉業界が動物性油脂の価格をコントロールしており、価格が高騰していました。そこでP&Gは、安価で安定的に手に入る『綿実油』に目をつけ、それを固形化する技術(水素添加)を開発・完成させたのです。
当初は石鹸の原料にする目的でしたが、「これはラードの代替品として、食用に使える!」と考え、食品事業に打って出たのが始まりです。
◆ クリスコがもたらした『食文化の革命』
クリスコは、巧みなマーケティング戦略によって、アメリカの家庭のキッチンを席巻しました。
★ 『清潔・経済的・未来的』というイメージ戦略
◇ 動物の脂であるラードを「不衛生で、古臭いもの」とし、真っ白で純粋なクリスコを「科学が生んだ、清潔で、健康的で、モダンな家庭の象徴」として宣伝しました。
◇ 無料で配布されたレシピ本『ザ・ストーリー・オブ・クリスコ』は、全てクリスコを使った料理を紹介し、「パイ生地がサクサクになる」「揚げ物が軽く仕上がる」といった利点を、主婦層に広く浸透させました。
◆ 健康への影響と、その後の変遷
クリスコの成功を支えた『水素添加』という技術。しかし、この過程で、後に健康に非常に有害とされる『トランス脂肪酸』が大量に生成されていることが、20世紀の後半に明らかになりました。
★ トランス脂肪酸の問題
◇ 悪玉コレステロールを増やし、心臓病のリスクを高めることが科学的に証明され、クリスコは一転して「不健康な油」の代名詞となってしまいました。
★ 現在のクリスコ
◇ この批判を受け、2000年代にクリスコは製品の配合を大きく変更し、トランス脂肪酸を含まない形に生まれ変わりました。現在の主原料は、大豆油やパーム油などになっています。
◇ また、P&G社は2002年にクリスコのブランドを売却しており、現在はB&Gフーズという会社が所有しています。
◆ 結論
P&G社のクリスコとは、「石鹸会社が、動物性油脂に代わる原料として開発した、世界初の植物性ショートニングであり、巧みなマーケティングでアメリカの食文化を革命的に変えたが、後にトランス脂肪酸問題で大きな批判を受け、現在は配合と所有者が変わっている」という商品です。
まさに、20世紀の科学とマーケティングの光と影を、一身に背負ったような製品と言えるでしょう。
近藤 誠
波氣動慈響祓術宗家 喬友
なんば古流慈手技堂 院長
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波氣動慈響道場 師範
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