知っておきたい、
パン食品の安全と選択

◆◆手軽な「個包装パン」
 コンビニやスーパーでよく見かける、具材が挟まれた個包装のパン。常温で長持ちし、いつでも手軽に食べられるのが魅力です。しかし、その「便利さ」を支えるために、いくつかの特性があることを知っておくと、食品選びの解像度が上がります。

◆血糖値の急上昇と、その後の不調
★消化吸収が非常に速い「精製された小麦粉」で作られています。また、具材の多く(特に惣菜系やスイーツ系)には、味付けのために砂糖や果糖ぶどう糖液糖などが使われています。
★これらを食べると、血糖値が急激に上昇(血糖値スパイク)し、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。この乱高下は、眠気やだるさ、イライラの原因になることがあります。長期的には、糖尿病のリスクを高める可能性も指摘されています。

◆脂質の種類と「トランス脂肪酸」のリスク
★パンの柔らかさや風味を出すため、また惣菜系のたまご、ツナマヨなどには、「マーガリン」や「ショートニング」、「マヨネーズ風ドレッシング」が使われています。これらを製造する過程で、「トランス脂肪酸」が生成されることがあります。
★トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、心臓病などのリスクを高めることが世界的に知られています。日本の規制は海外に比べて緩やかですが、メーカー各社は低減努力を続けています。とはいえ、含有量がゼロではない可能性があるため、摂りすぎは避けたい脂質です。

◆食品添加物の摂取
★コンビニなどの棚に長時間置かれても品質を保てるよう、様々な食品添加物が使われています。例えば、パンの柔らかさを保つ「乳化剤」、イースト菌の発酵を助ける「イーストフード」、保存性を高める「pH調整剤」などです。
★日本で使用されている添加物は、国の安全基準をクリアしたものです。しかし、複数の添加物を組み合わせた際の長期的な影響(カクテル効果)については、まだ不明な点も多いのが現状です。添加物をなるべく避けたいと考える方にとっては、懸念点となり得ます。
★よく噂される「臭素酸カリウム」について:
臭素酸カリウムは、動物実験で発がん性が確認されており、腎臓への毒性も指摘されている化学物質です。このため、国際がん研究機関(IARC)は「発がん性の可能性がある物質」と位置づけており、世界的には食品への使用を禁止する国が主流です。
日本では、製品に残存しないという厳しい条件のもとで使用が認められていますが、多くの企業は使用を中止・自粛しています。消費者が知らないうちに大量に摂取してしまうリスクは低いと考えられますが、その危険性が広く認識されている添加物であることは間違いありません。

4. 栄養の偏り
★手軽に食べられますが、ランチパックだけで食事を済ませてしまうと、どうしても栄養が偏りがちになります。
★特に、現代人に不足しがちな「食物繊維」や「ビタミン」「ミネラル」はほとんど期待できません。炭水化物と脂質、塩分(または糖分)が中心の食事になりやすく、これを続けると生活習慣病のリスクや、腸内環境の悪化につながる可能性があります。

◆◆ こだわりの「安全宣言」をするパン屋
 一方で、上記のような懸念点に対して、明確なこだわりを持ってパン作りをするお店も増えています。例えば、以下のような「不使用宣言」を掲げるパン屋さんがあります。

★「マーガリン、ショートニング」不使用
→バターや良質な植物油などを使用。トランス脂肪酸のリスクを避けます。

★「乳化剤、イーストフード」不使用
→パン生地を無理に膨らませたり、安定させたりする改良剤を使いません。小麦本来の力と職人の技術で焼き上げます。

★「pH調整剤」などの保存料不使用
→日持ちはしませんが、その分、余計なものが入っていないという安心感があります。

こうしたお店のパンは、原材料のリストが非常にシンプルです。日持ちしないことは、むしろ「自然な食品である証」と捉えることができます。

◆◆ 国内食品流通と「腐らない」技術の現状
 では、なぜ多くの市販品には添加物が使われるのでしょうか。これは、日本全国に食品を安全に、そして無駄なく届けるための「必要不可欠な技術」という側面があります。

★食中毒リスクの低減
製造所から遠く離れた店の棚に並び、消費者の手に渡るまで、食品が腐敗して食中毒を引き起こすのを防ぐことは絶対条件です。

★フードロスの削減
すぐに腐ってしまう食品は、流通過程や店舗での廃棄(フードロス)に繋がりやすくなります。日持ちをさせる技術は、この社会的な課題を減らす上で重要な役割を担っています。

★品質と価格の安定
いつでも、どこでも、同じ品質の製品を同じ価格帯で提供できるのは、こうした品質保持技術があってこそです。

このように、便利な食品は現代の流通システムと密接に結びついています。その特性を理解した上で、こだわりのパン屋さんのような選択肢も視野に入れ、ご自身の価値観やライフスタイルに合わせて賢く食品を選んでいくことが、これからの時代に求められているのかもしれません。

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