
「肩甲骨」と「鎖骨」は一心同体のパートナー
この関係性を、分かりやすい例えで表現すると…
★鎖骨 = 服を掛ける「ハンガー」
★肩甲骨 = そのハンガーに掛かっている「上着」
と考えることができます。
もし、ハンガー自体が歪んでいたら、いくら上着を引っ張ってシワを伸ばそうとしても、綺麗には掛かりませんよね。
これと全く同じことが、私たちの肩周りで起きているのです。
肩甲骨がガチガチになるメカニズム
1. 鎖骨は「肩の支柱(つっぱり棒)」である
鎖骨は、腕や肩甲骨を、胴体(胸骨)に繋ぎとめている唯一の骨です。
この「つっぱり棒」があるおかげで、肩は適切な位置に保たれ、腕を自由に動かすことができます。
2. 「巻き肩」が鎖骨の動きをロックする
現代人に非常に多い「巻き肩」や「猫背」の姿勢。
この時、体の前側にある胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)や、鎖骨の下にある鎖骨下筋が縮んで硬くなります。
これらの筋肉が縮むと、ハンガーである鎖骨は、前へ、そして内側へと引っ張られ、その正常な動きが完全にロックされてしまいます。
3. 動けない鎖骨のせいで、肩甲骨が無理をする
鎖骨と肩甲骨は、肩鎖関節(けんさかんせつ)という関節で繋がった、一心同体のパートナーです。
腕を上げたり回したりする時、本来はこの二つの骨が連動して、滑らかに動きます。
しかし、鎖骨が前側でガチッとロックされて動けないため、その相方である肩甲骨は、無理やり一人で頑張ろうとします。
その結果、
★本来の位置から外側にズレて、背中に張り付いてしまう。
★肩甲骨を動かす筋肉(僧帽筋、菱形筋など)が、常に過剰な緊張を強いられ、血行不良になる。
この「無理やり頑張っている筋肉の悲鳴」こそが、私たちが感じる「肩甲骨周りのガチガチ感」や、慢性的な肩こりの正体なのです。
結論
だからこそ、本当に「ガチガチの肩甲骨」を解放するには、背中側を揉んだり、肩甲骨はがしをするだけでなく、まず「前側の鎖骨の動きを解放する」アプローチが不可欠なのです。
具体的には、
★縮こまった胸の筋肉を緩める
★鎖骨の下(鎖骨下筋)の緊張を取る
★胸骨と鎖骨の関節(胸鎖関節)や、鎖骨と肩甲骨の関節(肩鎖関節)の動きを優しく取り戻す
これらのアプローチによって、初めて「ハンガー」が正しい位置に戻り、その結果として「上着」である肩甲骨も、自然とあるべき位置に収まり、周辺の筋肉は解放されるのです。
症状(肩甲骨の硬さ)の裏にある、本当の原因(鎖骨の機能不全)を見抜く。
なんば古流慈手技堂
祓浄復元術整體師
養成講座より