理佐目線


ずっと前から好きになる予感はしてた。
いや違う。きっと、初めから好きだったんだろう。


理「け、見学にきました...」

由「わ〜!来てくれてありがとう」ニコッ


高校に入学して間もないとき、友達に誘われて見に行った軽音部。そこで、初めて出会った。


由「お名前なんていうの?」

理「渡邉理佐です、」

由「りさちゃん!いい名前」
   「私は由依っていうから気軽に呼んでね笑」

理「ゆい、先輩?」

由「うんっ笑よくできました」


そう言って私の頭を軽くポンポンって。ふわっ、と花が咲くみたいに笑うゆい先輩は、2つしか歳が変わらないなんて思えないくらい大人で、まだ15歳の私には刺激が強すぎた。


由「ははっ笑りさちゃん耳も顔も真っ赤だよ笑

理「......///」

由「軽音部、よかったら入ってね」

理「......はぃ」


念願の高校生になれたから絶対バイトするんだって決めていたけど、そんな選択肢は頭からすっかり消えてしまうくらい。何の迷いもなく、" 軽音部 "と書いた入部届を担任に渡した。


由「っあ、りさちゃんだ!」

理「...」ペコッ

由「...もしかして、入部してくれた?

理「...」コクッ

由「ほんとに!やったぁ〜」
   「りさちゃんに入ってほしいなって思ってたんだよ」
   「短い間だけど、よろしくねっ?笑

理「っっはい!こちらこそです」


人見知りで弱気な私に、ゆい先輩は眩しすぎる。その笑顔を見ると見学に来たときの、あの手の感覚を思いだして意識しちゃうから。あまり話せなくなってしまった。


それでも2ヶ月ぐらい経つと距離は縮まってくるもので、部員も多くはないからある程度目を見て会話できるようになれた。
ゆい先輩はギター兼ボーカル。だから、私もゆい先輩と同じ弦楽器のベースを希望することにした。コードや弾き方を教えてもらったり、一緒に居残り練習をしたり。


理「このコードが難しくて...」

由「あ〜たしか私もそれ弾けなかったなぁ笑」
   「でもね、練習したらできるようになるから」
   「理佐ならぜったい上手になれるよ」

理「ゆい先輩みたいに、なれるかなぁ...」

由「私になんてならなくていいんだよ笑」
    「理佐は理佐らしく、やりたいようにやればいいの」

理「ふふっ笑ありがとうございますっ」

由「なんで笑ってんのさ!何も変なこと言ってないのに!」

理「あははっ笑

由「むぅ、もう!罰として帰りジュース奢ってもらうからね」

理「ぇ、ごめんなさい!許してくださいぃ...」


ようやく壁がなくなってゆい先輩とも話せるようになれたのに、気づけば3年生の引退ライブがすぐそこまできてしまっていた。


理「先輩これ...」

由「ん、?なにこれ!」

理「お守り、作ったんです」
   「あんまり上手にできなかったけど...笑」

由「......」グスッ

理「えっ、?ゆい先輩?」

由「うぅっ...りさぁぁあ涙」


少し重いかな、でも後輩としてだからって、自分に言い聞かせながら夜な夜な針を進め作ったギターのお守り。不格好だけど、ゆい先輩への想いは十分すぎるぐらい詰まってる。


理「明日応援してます」
   「ゆい先輩しか見ませんよ、後悔したくないですから笑」

由「ええ、それはちょっと恥ずかしいよ!」
   「他のメンバーも最後なんだから満遍なく、ね?笑」

理「はいっ笑」

由「お守りほんとありがと、一生大事にする。笑」
   「明日は楽しませるから、目離さないでよ」

理「ふふっ笑もちろんですよ!」

由「理佐は特別だからねっ笑」
   「よしっ帰ろう!」

理「おー!」


最後のステージに立つゆい先輩は、いつもよりも眩しくて、眩しすぎて。少し低めの綺麗な歌声も、弦を押さえる細長い指も、ギターのおかげで際立たされる華奢な体も、もう見れなくなると思うと視界がぼやけてくる。目離さないって約束したのに。


理「あぁだめだ...」グスッ

ライブはもうすぐ終わるっていうのに、涙は止まってくれない。

由「...次が最後の曲になります」
   「聞いてください。"二人セゾン"」

理「っ!!」


ゆい先輩とよく歌った曲。私の思い出の曲。いや、私たちの思い出の曲だって言おう。


由「君はセゾン 君はセゾン」~♪
   「僕の前に現れて」
  「君はセゾン 君はセゾン」
   「日常を輝かせる」ニコッ

理「...」ドキッ


私のお気に入りのフレーズ。ゆい先輩と出会って私の日常は180°変わった。全部全部ゆい先輩のおかげ。
先輩も、そうだったらいいのに...


パチパチパチ


  「本っ当にありがとうございました!」ペコッ


深くお辞儀をしてステージを降りていく先輩達。


  「わー!お疲れ様でした!!」


ほかの部員がライブ終わりの先輩に駆け寄る中、私は動けずにいた。また、こんなところで弱気な自分が出てきてしまう。
今日の会話がたぶん最後になるんだろうなって分かっているから。ステージ裏の端の方でみんなのことを眺めていると、見慣れた、見慣れすぎたシルエットがこちらに向かってきた。


理「ゆい先輩...」

由「もぉー泣きすぎだよっ笑」
   「わりと中盤から泣いてたでしょ?見てたよ笑」

理「...忘れてください」

由「いやでーす、一生わすれませーん」
   「あっそうだ。セゾンびっくりしたっ?笑」

理「嬉しかったです、最後に聴けて」
   「あの曲歌ってるときの先輩が1番好きだから笑」

由「っ......///」
   「り、理佐と私の特別な曲だから」
   「無理言ってセットリストに入れてもらったの」
   「理佐と出会ってから変わったんだよ?私」

理「先輩...」


私、言ってもいいのかな。
この気持ち伝えてみてもいいのかな。


由「理佐のために、理佐のこと考えながら歌った」
   「ちゃんと届けられたかなぁ...笑」

理「っっゆい先輩、私、!」

由「ふふっ、な〜に?」

理「先輩のことが、好き、、です」

由「...」


ああ、言っちゃった。
恥ずかしくて、湯気が出てそうなくらい顔が熱くて、前を見れない。先輩は今どんな表情なんだろう。


由「理佐」

理「はぃ.........んっ」


私の唇にやわらかい何かが触れて。勘違いでなければ、それはきっとゆい先輩の...


由「......ん」
   「へへっ」ニコッ

理「......///」

由「私も好き」
   「よかったら付き合ってください」

理「うそだ、あ、おねがいします、!」

由「やっとだぁ笑」

理「、え?」

由「んーんなんでもないっ」
   「それより、もいっかい......」

理「んんっ」


二度目のそれは甘くて、長くて。私たちのこれからを感じさせるような、優しいキスだった。











お読みいただきありがとうございました


由依ちゃん目線も書くつもりなので
そちらもよければ読んでくださいっ


それでは

はるむら