普段の生活の中で、「非難」と「批判」、そして「批判的」であることの区別をつけて
言動をコントロールすることは稀だと思います。
同じように思われるこれらの言葉ですが、言葉が示す概念にきちんと向き合うと、
決定的に違う点が明確になり、自分の生き方に反映させることができます。
この3つの言葉の違いを意識することをおすすめしたい、というのが今日のテーマです。
言葉について調べたい時にやることは4つです。
①辞書をひく。
②自分が生活の中でどのように(状況・場面・感情など)その言葉(概念)を
使っているかに気づく。
③自分が知っている言葉で「似たような言葉」と「反対の言葉」を比較する。
④他人がどのようにその言葉を使っているかを知る。
①辞書をひく。
三省堂weblioによると「非難」と「批判」、「批判的」の概念は次の通りです。
ひ なん [1] 【非難・批難】
( 名 ) スル
相手の欠点や過失を取り上げて責めること。 「不手際を-する」
ひ はん [0] 【批判】
( 名 )スル
①
物事の可否に検討を加え、評価・判定すること。「学説ー」 「 ーを仰ぐ」
②
誤っている点やよくない点を指摘し、あげつらうこと。 「政府の外交方針を-する」
③
〘哲〙 〔ドイツ Kritik〕人間の知識や思考・行為などについて、その意味内容の成立する
基礎を把握することにより、その起源・妥当性・限界などを明らかにする。
ひ はんてき [0] 【批判的】
( 形動 )
①
批判する立場に立つさま。 「増税政策には-だ」
②
〘哲〙人間の認識や経験の根拠・条件についての認識論的検討を主たる哲学の課題とするさま。
②自分がどのような時にこれらの言葉(概念)を使っているか。
子育て中のママさんがこれらの言葉を内的なものも含めて比較的よく使う対象は、
「学校・教育(システム)」 「役所(システム)」 「教師」「いじめっ子」「夫?姑?」
などが考えられます。他にもいろいろありますね、きっと。
③言葉を比較する。
比較とは、共通点と相違点を見つけることです。
3つの言葉に共通するのは、
自分の願いや希望、道徳感と相反する状況やシステムを目の前にした時に、
使っていること。
具体的な言葉で表現すると、
「普通は~だ。」「おかしい。」「間違えてる。」
相違しているのは、
自分の価値観の押し付け度、だと私は思います。
(あくまでも私の考えです)
「非難」は、自分の価値観に絶対的な正しさを持たせ、対象を責める。
相手の正しさ度0%、私の正しさ100%。
「批判」は、自分の価値観を元に対象を評価すること。
私の考えでは、これが正しいと思う。
相手の様を判定する。
「批判的」は、自分の価値観を元に、批判する立場にある自分の立ち位置を
明確にする様。
ななつ星として子育て中の、特に凸凹っ子を育てているママにおすすめしたいのは、
「批判的」であることです。
意識のベクトルが、「批判的」だけは自分に向きます。
自分はどう捉えるのか、自分ならどうしたいのか、
自分を見つめる勇気のある人が批判的で創造的な人であり、
ななつ星はそういうママさんと子どもの育つ環境を語り合いたいです。
自分はダメだと、自分を批判することではないのでご注意お願いします。
非難や批判は、意識が外に向き、自分への意識は空っぽ。
自分が空っぽな状態では知的で内発的なエネルギーが出るはずもなく、
生産的なことは何ひとつ起こらないのです。
意識が外に向くと、他人の価値観に振り回されます。
自分が空っぽだからです。
④他人がどのように使っているかを知る。
写真で紹介している雑誌は『おそいはやい ひくいたかい』。
これは、比較的「批判」「批判的」な要素が強い内容です。
教育とその周辺の仕事をしている人たちが、子どもをめぐる
世界にどのような批判的な視点を向けているかを知るには、
このような雑誌がわかりやすい。
ただ、教育や支援のお仕事ではない普通のママさんは、特集のテーマを
選んで読まれることをおすすめします。
こういう批判・批判的な要素の強い雑誌は、意図されてなくても、
うっかり非難と批判の感情を焚き付けることもあると思うからです。
かなり慎重に読むようにしている私でも、うっかり引っ張られます。
(記事の内容が悪いわけではありません。いい記事がたくさんあります。
そういう要素が強いのでご用心、という話)
「おかしいな。変だな。」と思ったらその道を選ばない、というのが
批判的であることの良い練習になると思います。
みんなが選ばなければ、システムは変わります。
「◯◯反対!」と声高に叫ぶ必要はないのです。
そんなエラそうに言う私も、よほど気をつけておかないと、
まだまだうっかり他者を安易に批判してしまいます。
この記事は、大いに自戒の意味合いをもっています。
たいていの場合は、ななつ星の生徒さんが学校で無体な扱いを
受けた時です。
どうしても感情が先に立ってしまう。
教師よ、どうにかならんものかと思ってしまう。
(過去の記事でも時々つぶやいてしまっていますよね。)
憤りを感じることが起こった時、自分の意識のベクトルが今どちらを
向いているかを感じ取る。
批判的でありつつ、自分ができることを見つめる、
そういう練習をななつ星と一緒にしていきましょう。
私もまだまだですわ~。