社会に出て2年目に突入したものの、思ったより周りにも自分にも変化は少ない。

勤めている会社がグローバルチックな会社ということもあり、同期の皆さんはやることがないようで、雑務やよくわからないことをやらされている。

 

 僕も最初はやらされていたが、部署が数少ない国内向けの事業に伴い、早々に実務に

入り、せっせと頭を下げている。最近、ほかの同期が死ぬほどうらやましい。

 

 休日に高校の同級生と久しぶりに再会し、都会の駅に集合。大きな提灯が見える

観光地で、友人の一人暮らし記念に調理道具を買ってやろうとかっぱ橋へと向かった。

 男同士の祝いの品を選ぶのにそう時間はかからない。よさげな包丁を買い、約束していた

、学生のころから通っている汚いがクソ美味い焼肉屋へと向かう。そこで待っていたもう2人の友人と合流し、乾杯。

 

 学生の時を思い出しながら肉を食らい、酒を飲む。昔より皆少し食べる量も飲む量は減っていた。食べ終わり、帰ろうとと思ったが海を見に行こうと一人が言い出し、みんなノリノリだ。

 

 マジか・・・。今日、日曜だぞ。

 

 ぶっちゃけ、今回の飲み会にはあまり乗り気ではなかった。その週は身体的にも精神的にもキツイ週で、日曜の夜遅くまで遊ぶと明日の勤務に影響が出るのは明白だった。

 

 疲れたなぁ・・・。

 

 そんなことを思いながら海行きの電車に乗る。顔も体も引きつっていた。

 

 パーティの構成人数は5人、のち3人はまだ学生。そこに大きな溝を感じていた。

 別に彼らだって月曜に授業なりバイトがあり、労働や疲労に関係がないわけではない。

彼らが嫌いなわけではないし、むしろ今までどうしようもない僕に付き合ってくれた

旧知の仲だ。ただ、その日は焼肉のあと、いち早く帰りたかった。

 

 はしゃぐ彼らを見ながら、もう戻れないその時を眺めているのが辛かった。

 

 人生のEXPなんてろくなものじゃない。成長すればするほど、過去の色彩が

薄くなり、追憶の彼方へと積もっていく。

 

 もうできなくなってしまった僕は、成長したからできなくなったのかもしれない。

ただ、ゲームだったら成長しても最初の技だって使える。人生の経験値なんて、

勝手に可能性を絞っていくデバフに近いのではないだろうか。

 

 海の潮風に吹かれながら、遠巻きには彼らを見ていることしかできなかった。