2023年の読書メーター
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現代詩の鑑賞 (下) (新潮文庫)現代詩の鑑賞 (下) (新潮文庫)感想
古い本なのだけれど、読み返すと味わいが。扱われている詩人は、賢治、喜八、光晴、達治、重治、心平、冬彦、中也、道造、順三郎。この中では、北川冬彦をもう一度読んでみたいと思う。検温器と花とか。長生きされたのでまだ青空文庫には収録なし。
読了日:12月10日 著者:伊藤 信吉
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか感想
再読だが、日本の三権<天皇<米国(米軍)という図式を明確に記述した良書だと思う。一つだけ意見が違うのは、現行憲法は確かに天皇制の部分など手直しが必要だと思う(できれば廃止すべき)が、作り手が誰だったかは関係なく、その骨組みはきちんと守るべきだと思う点である。
読了日:12月09日 著者:矢部 宏治
さだのはなし ~さだまさしステージトーク集~さだのはなし ~さだまさしステージトーク集~感想
軽い話は面白いのだが、どうも説教臭いのはいけないね。それと、「女は家庭を守るもの」という信条が抜きがたくありますな、この人は。
読了日:11月01日 著者:さだ まさし
ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1 (集英社文庫)ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1 (集英社文庫)感想
ほかならぬ本多さんで、道具立てもいいと思うのになぜ面白くないのか。登場人物が多すぎてこちらの頭がついていかないのだな。三井というキャラクターはちょっと面白かった。
読了日:10月12日 著者:本多 孝好
煤煙 (岩波文庫)煤煙 (岩波文庫)感想
漱石の「それから」に「門野は茶の間で、胡坐をかいて新聞を読んでいたが、髪を濡らして湯殿から帰って来る代助を見るや否や、急に坐三昧を直して、新聞を畳んで坐蒲団の傍へ押し遣りながら、「どうも『煤烟』は大変な事になりましたな」と大きな声で云った。」という」というくだりがあり、一度読んでみたいと思っていた。心中事件といいながら男女とも大変観念的で、到底同情できない。むしろ同事件を平塚明(はる、らいてう)側から描いたものを読んでみたい。
読了日:10月08日 著者:森田 草平
MEMORY (集英社文庫)MEMORY (集英社文庫)感想
MOMENT、WILLの二作の間を埋めるように、落穂拾いのように、短編を紡いでいく。丁寧な仕事だと思う。面白かった。
読了日:10月02日 著者:本多 孝好
WILL (集英社文庫)WILL (集英社文庫)感想
主人公(クールな29歳の女性なのだが)を映像化するのに誰がいいか、迷う(迷ったってしょうがないのだが)相手役は高橋一生かなぁ。
読了日:09月18日 著者:本多 孝好
MOMENT (集英社文庫)MOMENT (集英社文庫)感想
面白い連作短編集だが、最後の話は少々弱くないかい?
読了日:09月18日 著者:本多 孝好
MISSING (角川文庫)MISSING (角川文庫)感想
これは当たりだった。特に「瑠璃」がよかった。誤解を招く言い方かもしれないが、絶好調のムラカミハルキみたいな調子で実に快調である。
読了日:09月11日 著者:本多 孝好
dele3 (角川文庫)dele3 (角川文庫)感想
deleのおかげで小説を読む楽しみが帰ってきました。ここのところ、昔読んだものを読み返す程度で、ほとんどフィクションにはご無沙汰しておりました。話はややとっちらかった感があるけれど、堂本ナナミというキャラクターが魅力的です。タマさんもだけど。
読了日:09月06日 著者:本多 孝好
星条旗と青春と―対談:ぼくらの個人史 (角川文庫 (5931))星条旗と青春と―対談:ぼくらの個人史 (角川文庫 (5931))感想
1940年代から1970年代までの日本を俯瞰する、小林信彦さんと片岡義男さんの対談集である。私がものごころついたのは速くて昭和37年(1962年)くらいなので、それまでの、特に敗戦後の出来事のクロノロジカルな回想は大変興味深い。確かに、われわれは米国文化にambivalentな感情を抱いている。それはいまも変わらないと思われる。
読了日:09月02日 著者:小林 信彦,片岡 義男
dele2 (角川文庫)dele2 (角川文庫)感想
deleはテレビドラマでみて大変面白かったので、小説も読んでみた。テレビドラマの印象が強いのでどうしても役者さんのイメージが浮かんでしまうが、小説としても大変よくできており面白い。
読了日:09月01日 著者:本多 孝好
ラブカは静かに弓を持つラブカは静かに弓を持つ感想
JASRAC VS ヤマハ音楽教室の実際の訴訟を題材にした「スパイ小説」弟子がスパイかどうかという切り口と、実際の師弟関係というのは次元の違うことのような気もする。主人公はそんなに悪いことをしたのか。
読了日:08月18日 著者:安壇 美緒
白夜行 (集英社文庫)白夜行 (集英社文庫)感想
再読。前回と同じく、背景の時代性を描き出すという意味ではあまり成功しているとは言えないが、前回より(結末を知っていても)味わって読めたかもしれない。
読了日:08月16日 著者:東野 圭吾
ダイイング・アイ (光文社文庫 ひ 6-11)ダイイング・アイ (光文社文庫 ひ 6-11)感想
東野作品にしては少々ストーリーに無理があるかなぁ。サービスに走りすぎた感がある。
読了日:08月07日 著者:東野 圭吾
流星の絆 (講談社文庫)流星の絆 (講談社文庫)感想
登場人物たちの主な連絡手段は携帯というあたりに時代を感じる。手練れの東野作品だけに、最初に重い話を置いても、あとは軽快に飛ばしていき、最後にすべての伏線がきれいに回収されるのは読んでいて爽快感がある。エンターテインメントとして大変よくできていると思います。
読了日:08月01日 著者:東野 圭吾
木挽町のあだ討ち木挽町のあだ討ち感想
なんかメジャーなものを詠んでしまった。時代物というのは背景事情を理解するのに手間取るし、時代に溶け込めないので苦手なのだが、この小説に限ってはそのあたりの処理がとてもうまく、すんなり読み進めることができた。面白かった。
読了日:07月24日 著者:永井 紗耶子
現代詩の鑑賞 上 (新潮文庫 い 8-1)現代詩の鑑賞 上 (新潮文庫 い 8-1)感想
昭和27年の本だから71年前ということになる。はるかに現代詩とは呼べないものを扱っているが、今読んでも面白かった。取り上げられているのは藤村・有明・白秋・露風・啄木・光太郎・暮鳥・犀星・朔太郎・元麿・春夫の11人。
読了日:07月16日 著者:伊藤 信吉
半七捕物帳〈1〉 (光文社時代小説文庫)半七捕物帳〈1〉 (光文社時代小説文庫)感想
青空文庫にいっぱいあるのでたまにちょっとずつ読んでいる。他愛ない話も多いのだが、ちょっとひねった面白いものもある。
読了日:07月12日 著者:岡本 綺堂
定本 バブリング創世記 (徳間文庫)定本 バブリング創世記 (徳間文庫)感想
久しぶりに筒井康隆さんを読んだ。表題作はさすがに途中で読み飛ばしてしまったが、所謂ドタバタSF「ヒノマル酒場」が面白かったし、「三人娘」は長年中間管理職をやった経験を踏まえて読むとこれは身につまされるものがある。盛り上げていく手法がすごいのだが、これは巧んでそうしたというより、天性のものなのだろうな。舞台は昭和、それも表計算ソフト以前だろうが、非常にリアルに感じた。1978年(昭和53年)作品だから45年前だが、古くなってない。
読了日:07月08日 著者:筒井康隆
吾輩は猫である (角川文庫)吾輩は猫である (角川文庫)感想
何度読んだかわからない。何度読んでも面白い。漱石はまるで明治時代から令和の世の中を見通していたようにすら感じる。
読了日:07月06日 著者:夏目 漱石
漾虚集・夢十夜 (漱石作品論集成)漾虚集・夢十夜 (漱石作品論集成)感想
倫敦塔・カーライル博物館・幻影の盾・琴のそら音・一夜 ・薤露行・趣味の遺伝のうち、青空文庫で読めない幻影の盾を除いたものを読んだ。但し、薤露行については文語文に抵抗があって読めていない。漱石の創作の原点におけるあれやこれやの試行錯誤を見るようで大変興味深い。
読了日:06月19日 著者:
九十八歳。戦いやまず日は暮れず九十八歳。戦いやまず日は暮れず感想
98歳で、これだけの文章が綴れるということにまず驚く。論旨明解、首尾一貫、笑いまでとりにくる。分量に比して価格が高い気はするが、98歳じゃあしょうがないかと納得する。「寂寥」の二字が胸に迫る。
読了日:06月11日 著者:佐藤 愛子
増補版 九十歳。何がめでたい (小学館文庫 さ 38-1)増補版 九十歳。何がめでたい (小学館文庫 さ 38-1)感想
この本がすでに7年前。エッセイを頼まれるというのは、いいことですね。おそらくそれで書いている間は老いは影をひそめているのでしょう。私もこれに同感することが多い歳になったということか。
読了日:06月03日 著者:佐藤 愛子
うわさ帖 (集英社文庫)うわさ帖 (集英社文庫)感想
同じ新聞連載の「女帖」と違って、こちらはとりとめのない話が多いのだけれど、そこは文豪半村良、つぎつぎ読まされてしまう。復員してきた人がどこからかグローブとミットを手に入れて子どもにキャッチボールの相手をさせるなんて、いい話だな。戦後、野球はルールがきちんと決まっていて爽快だったというのもいい。それが例の騒動でジャイアンツがジャイアンツでなくなっちゃったというのもさみしい話だ。
読了日:05月28日 著者:半村良
吉野葛吉野葛感想
短いながらも谷崎の筆が冴える。昔の人は地図もなしに山道を行き、どうしようもないと案内人を雇ったのですね。
読了日:05月26日 著者:谷崎 潤一郎
雨物語 (講談社文庫)雨物語 (講談社文庫)感想
平成元年の雨の日の物語。あれから30年以上経ってるのだなぁ。おそらく昭和のバーというのは居心地のいい場所だったのだろうなぁと思わせる酒場がらみの作品のひとつ。
読了日:05月18日 著者:半村良
忘れ傘 (集英社文庫)忘れ傘 (集英社文庫)感想
例によって半村さんの酒場譚なのだが…結論は、結局女はわからない、ということでいいのだろうか?
読了日:05月16日 著者:半村良
たそがれ酒場たそがれ酒場感想
還暦になった、シリーズ主人公仙田の周辺を描いている。この時代、還暦は結構なトシということなのだろうな。新しい生きのいい登場人物を加えて楽しい読み物になっている。ところで京子はどこへ行ったんだ?
読了日:05月09日 著者:半村 良
再び女たちよ! (新潮文庫)再び女たちよ! (新潮文庫)感想
手元にあるのは1980年第9刷とある文春文庫版である。おそらくこれを私は20代前半に読んだのであろう。若い頃に読んだものというのは覚えているものですな。各章の最初を読んだだけでどんな話だったか思い出せる。それに引き換え、中年になってから読んだものはすっかり忘れているのだ。時代がたってあまりポリティカリーにはコレクトでないかもしれないけれど、面白いエッセイ集です。
読了日:05月07日 著者:伊丹 十三
パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)感想
乱歩はすごいなぁ。イマジネーションとそれを書き込むエネルギー。しかし、破調である。整っていない。勢いはすごいのだけれど、結果主人公同様表現が破綻しているように思う。
読了日:04月25日 著者:江戸川 乱歩
新宿馬鹿物語新宿馬鹿物語感想
新宿馬鹿物語完結編。ハッピーエンドでよかったよかった。雑誌初出が昭和51年。確かにこの年は三の酉が11月29日であったことを確認。すぐ翌年に映画化されているのだが、主人公の仙田が愛川欽也さんでは私のイメージとはずいぶん違う。いや、映画を見ないで書いているのでわかりませんが。
読了日:04月12日 著者:半村良
北村薫のミステリー館 (新潮文庫)北村薫のミステリー館 (新潮文庫)感想
どうもピンとこない話が多いのだ。ぺダンティックで高踏的なのだ。「盗作の裏側」は面白かったが。あと、翻訳というのは読みにくいものだと改めて思った。最後の村上春樹訳はさすがに小説家だけあって読みやすいが、話がきらいだ。というか私は血に弱いのだ。奥泉光はこの作家にしては重すぎて到底最後まで読み通せない。
読了日:04月09日 著者:
ながめせしまにながめせしまに感想
これをキンドルで読むことになろうとは思わなかった。全編、これ昭和の風景である。特に、なんということもない酔客2名を描いた「ふたり飲兵衛」が印象に残る。表題作をはじめ性描写がかなり濃厚で、これらと比べると「雨やどり」「おんな舞台」などのあっさりした表現の方に軍配を上げたい。
読了日:04月05日 著者:半村 良
女帖女帖感想
エッセイという形も、最初のうちはともかく、すぐ呼吸を掴んでしまう半村先生、いつもの見事な芸を見せてくれる。女たちの、いや人間のすぐれた52葉のスケッチブックである。
読了日:03月31日 著者:半村 良
リセット (新潮文庫)リセット (新潮文庫)感想
「スキップ」「ターン」と読んでいて息苦しくなるような作品のあとに「リセット」は悲劇的な背景があったとしても平常心で読める作品である。第一部は戦中、第二部は戦後を描く。第一部の「真澄」がほぼ母と同年代(学徒動員で飛行機工場に行ったりしている)、第二部の語り手である「村上君」は団塊の世代、私の6-7才上の設定で、物語中に描かれる世情に共感するものが多い。戦中のことは直接しらないが、「真澄」のような上流の人間にとっては戦争とは遠くで行われる心逸る出来事であったのだろうと感じさせてくれる。次は気をつけなければね。
読了日:03月20日 著者:北村 薫
ターン (新潮文庫)ターン (新潮文庫)感想
二人称で始まる珍しい形式でそれが物語の伏線にもなっている周到さ。「スキップ」にしてもそうだが、主人公は設定された異常事態にあまりに気丈に対峙するのが不自然に思えてしかたない。こういう人はいるんだろうか。私なら絶対精神に異常をきたしてしまうと思う。なお、文庫版の「付記」にある矛盾点については私も気になっていた。これをSFとみるのであれば、看過できない瑕といっていい。柿崎の生きている時間には「昨日の」午後3時15分からの5分間は含まれていないのだから、主人公が「戻ってくる」のを待ち伏せすることは不可能である。
読了日:03月17日 著者:北村 薫
スキップ (新潮文庫)スキップ (新潮文庫)感想
再読。設定が読んでいてもつらい。息苦しい。こんな事態になったら、精神に異常をきたしてもまったくおかしくないと思うのに、主人公は気丈である。気丈すぎるところに、むしろリアリティを感じられなかったり。昭和40年代と平成を描いてあますところがなく、ちりばめられるサブストーリーも見事なのは重々わかるが、読後感としてはしんどい。
読了日:03月13日 著者:北村 薫
雨やどり (集英社文庫)雨やどり (集英社文庫)感想
文春文庫で再読した。何度読んでもうならされる見事な芸だ。人情噺をしているようで、最初の話はなんとSFである。文春文庫はカバーが滝田ゆうさんの洒脱な絵である。主人公の仙田が半村さんの分身かと思っていると最終話では作家になった駒井が登場し、全体はひっくりかえってしまう。久保田万太郎が登場する「あとがき」まで含めて完全な舞台といっていい。
読了日:03月08日 著者:半村 良
鷺と雪 (文春文庫)鷺と雪 (文春文庫)感想
再読。この一冊に限らず、「街の灯」「玻璃の天」を含めた「ベッキーさんとわたし(花村英子)」のシリーズは傑作である。これも「円紫さんとわたし」のシリーズ同様、ヒロインのビルドゥングス・ロマンになっており、かつ五・一五事件から二・二六事件に至る昭和の決定的な一時期を見事に描いている。
読了日:03月06日 著者:北村 薫
玻璃の天 (文春文庫)玻璃の天 (文春文庫)感想
再読であるが、あらためて見事なものだと思った。昭和初期を背景にとり、貴族のお嬢様をヒロインにした本格推理小説でありながら、時代を描くことにあますところがない。
読了日:02月26日 著者:北村 薫
覆面作家の夢の家 新装版 (角川文庫)覆面作家の夢の家 新装版 (角川文庫)感想
3種類のそれぞれ違った趣向の謎解きを提示する本格推理であるが、とにかくこのヒロインを設定したのが作者のお手柄だと思う。なんで2編目が「目白を呼ぶ」なのかがいまだにわからない。
読了日:02月22日 著者:北村 薫
覆面作家の愛の歌 新装版 (角川文庫)覆面作家の愛の歌 新装版 (角川文庫)感想
ああややこしい。表題作の「愛の歌」のトリックは大変手が込んでいる。正直なところ3回読んで、自分で図を書いてみてやっとわかった(ような気がする)。
読了日:02月21日 著者:北村 薫
おんな舞台おんな舞台感想
見事な芸としかいいようがない。全く知らない世界が展開されるのだが、語り口のよさにつられて、昭和の女たちの世界を遊覧させてもらってしまう。解説を向田邦子さんが書いて女の内面の描き方の見事さを絶賛されているが、(経験がないからわからないのだが)すごいのだなと思う。表題作の「おんな舞台」が絶品ではあるが、「焙烙」が特に印象に残る。戦後すぐの日本を描いたものとして小品だが「屋根の上のマッカーサー」も貴重だと思う。「焙烙」が手に入りにくいとあるが、最近はネットですぐ見つかるのだよな。
読了日:02月19日 著者:半村良
覆面作家は二人いる 新装版 (角川文庫)覆面作家は二人いる 新装版 (角川文庫)感想
再読。コメディーである。北村作品らしく、コメディーであっても本格推理として、上滑りすることなくきっちりとまとめられている。主人公は美貌のお嬢様で、かつ異能の人である。異能の人を出せばかなりの部分物語は興味をひくことができるのだが、そこに適切な脇役を配して強固な結構とするところが作者の腕であろう。
読了日:02月15日 著者:北村 薫
冬のオペラ (角川文庫)冬のオペラ (角川文庫)感想
再読。前に読んだときはあまりすきになれなかったのだが、もう一度読んでみるとそうでもない。メイントリックの概略は覚えていたが、幕切れがあんなに切れ味が良かったというのは再認識。相川司さんの解説にあるけれども、巫弓彦という探偵名・探偵の造形もなんとなく小林信彦(中原弓彦)の神野推理を思わせるところがある。あくまでこれは本格推理小説なのであるな。
読了日:02月12日 著者:北村 薫
街の灯 (文春文庫)街の灯 (文春文庫)感想
田中絹代主演の映画「兄さんの馬鹿」が1932年だからヒロインの花村英子は1917年生まれくらいだろう。何不自由なく生活を楽しんでいる英子だが、戦中戦後とどのような人生を歩むのだろう、と思ってしまう。終戦時に30歳手前になるはずだ。
読了日:02月07日 著者:北村 薫
謎物語 (あるいは物語の謎) (創元推理文庫)謎物語 (あるいは物語の謎) (創元推理文庫)感想
推理小説の好きなむきにはよい本であろう。つぎつぎと紹介される逸話や本について、すぐに読んでみよう(全部ではないにしても)と思えなくなったのは、環境から図書館に自由にアクセスできないこともあるが加齢が主な原因であろう。気合が入らないのである。
読了日:02月05日 著者:北村 薫
太宰治の辞書 (創元推理文庫)太宰治の辞書 (創元推理文庫)感想
図書館で借りて一回読んだのだが、シリーズを改めて読み返していて手元になかったので購入。これも「六の宮の姫君」ほどではないがぺダンティックである。「花火」は芥川だからいいのだけれど、太宰治に関しては私はよい読者ではないので、パスですなー。思わぬところでクラフト・エヴィング商會が出てきてびっくり。
読了日:02月01日 著者:北村 薫
水に眠る (文春文庫)水に眠る (文春文庫)感想
これも再読だが、「くらげ」のみ明瞭に記憶に残っていた。おそらくSFとしての結構が堅固なせいだろう。SFともファンタジーともつかない短編集だが、著者の手際はあざやかである。あざやかすぎてよくわからないところもあるが、いずれにせよ水際立った短編集である。他人事でない年になって認知症を扱った「弟」が印象にのこる。それ以外はすでに追憶の世界である。
読了日:01月27日 著者:北村 薫
朝霧 (創元推理文庫)朝霧 (創元推理文庫)感想
「秋の花」は重かったし、「六の宮の姫君」はぺダンティックすぎ、「朝霧」でやっと軽さと深みと楽しさのシリーズのたのしみが戻って来た気がする。傑作。
読了日:01月23日 著者:北村 薫
夜の果てへの旅〈上〉 (中公文庫)夜の果てへの旅〈上〉 (中公文庫)感想
高校生のころに買って、読まずにいた上下巻だが、上巻だけ読んでやめることにした。この汚物をまき散らしたような作品は発表時の1932年には衝撃だったのだろうが、いま読み返してみても興味をひく所は(私には)なかった。
読了日:01月18日 著者:セリーヌ
六の宮の姫君 (創元推理文庫)六の宮の姫君 (創元推理文庫)感想
2度目なのだが、私の大正時代の文学の知識では到底立ち行かず、今回もよくわからなかったと言わざるを得ない。難解である。本筋の他に大量の周辺情報が詰め込まれている上にさらにサブストーリーがあり、初心者は混迷を極める。かろうじて菊池寛はどんな迷いがあろうとも成仏できると考え、一方芥川龍之介はそれは違うと思ったらしいということだけはわかった。今は幸いどちらも青空文庫で簡単に読めるし、主要な作品を読んで行こうかと思う。いやー、難しい小説ですね。
読了日:01月14日 著者:北村 薫
秋の花 (創元推理文庫)秋の花 (創元推理文庫)感想
「空飛ぶ馬」「夜の蝉」と傑作掌編を積み重ねてきての同シリーズの長編なのだが、テーマが人の死であり、重苦しい雰囲気が続く中で、いかにサブストーリーの軽く明るい挿入部分があっても、救いにはなりにくい。読み進めるのに抵抗がある。これは長編にしたのは失敗なのではないか。それと「隠れんぼうの鬼」は探す方であって、隠れる方ではないのではないか。
読了日:01月11日 著者:北村 薫
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)感想
創元文庫の解説の吉田利子さんの言うように、「円紫さんと私」シリーズは「私」のビルドゥングスロマンである。時は流れる。このシリーズも時代が色濃く反映している。ネットもスマホもない時代である。「夜の蝉」には郵便が主要なテーマとなっているが、今の制度ではここまでゆるくないのではないかと思う。
読了日:01月06日 著者:北村 薫
空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)感想
再読なんですが、面白かったという印象だけで、ほとんど忘れている(呆)。「円紫さんと私」シリーズ一作目だが、ややぺダンティックなのだな。傑作であるのは間違いない。北村薫さんの燦然たるデビュー作である。ただ、嫌いな人もいるかもしれない。古田織部の話は謎解きにやや無理があるように思うがどうか。
読了日:01月05日 著者:北村 薫

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