音楽のたのしみ(1) 音楽とは何だろう (白水uブックス 1094)音楽のたのしみ(1) 音楽とは何だろう (白水uブックス 1094)感想
ロラン=マニュエル(1891-1966)のラジオ番組の書き起こし。ペダンティックというかスノビッシュというか。お相手はピアニストのナディア・タグリーヌ(1917-2003)。1944年から1966年まで続いた長寿番組らしい。番組開始時RM53歳、ナディアは27歳だから、若いピアニストといっていいだろう。この人も番組中なかなか黙っていない。ゲストがすごいラインナップ。初回はジャック・イベール。モイーズもプーランクもデュティユーも来ている。これだけ贅沢なゲストを招いておきながら、ほとんどしゃべらせない(笑)
読了日:03月27日 著者:ロラン=マニュエル
キュンとしちゃだめですか?キュンとしちゃだめですか?
読了日:03月26日 著者:益田 ミリ
トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体感想
わかりにくい。他罰的な私としては、著者がよくわからずに書いているからだと判断してしまうのだが…米国の共和党保守派の考え方を伝えたいという熱意は伝わってくる。共和党保守派が日本で開いたレセプションで自民党の代議士が「米国に対しても政官財で連携してしっかり対応していく」という趣旨の発言をしたというくだりで、著者は政官財の癒着は米国保守派が腐敗としてもっとも嫌うところだと指摘する。占領されて70年も経つのに日本人が米国を理解していないことおびただしいということは認めざるを得ない。
読了日:03月23日 著者:渡瀬裕哉
紋切型社会 (新潮文庫)紋切型社会 (新潮文庫)感想
「紋切り型でなければ語れぬ真実もある」と喝破したのは、小林信彦さんの「唐獅子株式会社」の登場人物だったと記憶しているが、それは相当深刻で、かつレアなケースであろう。ここにあげつらわれているのは、比較的新しいがすでに鼻につくようになったクリシェである。「誤解を恐れずに言えば」「逆にこちらが励まされました」云々。ありますね、違和感。武田さんはきちんと整理できないのは承知の上でとりあえず喧嘩を売ってみる。その心意気やよし。ハナから「乙武君」だからね(笑)
読了日:03月20日 著者:武田 砂鉄
新方丈記 (福武文庫)新方丈記 (福武文庫)感想
東京空襲を直接体験して焼け出された百閒先生の赤裸々にして貴重な記録のエッセンスがまとめられている。徹底した無差別爆撃を受けるとこうなるのだということを、追体験できる貴重な文章だと思います。
読了日:03月17日 著者:内田 百けん
四重奏 カルテット四重奏 カルテット感想
小林信彦さんが乱歩のもとでヒッチコックマガジンの編集長をやっていたことは知っていたが、こんなにややこしい事情があったとは。しかも、これは作者の感受性の問題もなしとはしないが、周辺人物が編集者にしろ、翻訳者にしろ、プロ意識というものが欠如しているとしか思えない。こういう中で毎月雑誌を発行するのはつらかろう。同じ作者の大人向けの方の「オヨヨシリーズ」の背景にはこういう経験があったのだな、といまさらながらに種明かしをみる気分である。
読了日:03月16日 著者:小林信彦
パワーパワー感想
いかにも女性の書いた小説である。もし、このような社会的に根本的な変革を迫るような「異変」が起きたら、政治・経済・軍事、そして何より宗教的な大変動が起き、おそらくは大規模なテロや戦争が起きるだろうが、この小説はそういうマクロな観点での説明は最小限で、ほとんどのエピソードは狭い人間関係を扱っており、地理的にも狭い範囲の話である。男性が書けばおそらく、そういった小さなエピソードをちりばめたにせよ、それらが合流してマクロな動きにつながっていくさまをダイナミックに描くだろう…てなことを書くと炎上するだろうか。
読了日:03月14日 著者:ナオミ・オルダーマン
耳の思考―現代音楽の意味場 (1985年)耳の思考―現代音楽の意味場 (1985年)感想
1985年に近藤譲さんがこういうしっかりした本を書いてくれているのは後世からみてまことにありがたい。当時の現代音楽の状況がよくわかる。すでに「前衛の終焉」という言葉で総括されている。なにより(比較的)平易な日本語で書かれているので、アドルノを読むような困難がない。
読了日:03月14日 著者:近藤 譲
おどろきの中国 (講談社現代新書)おどろきの中国 (講談社現代新書)感想
我々が持つ中国に対する疑問に丁寧に答えながら、中国の成り立ちからその政治原理、なぜ国民党ではなく共産党が勝利したのか、日中戦争とはなんだったのか、米国と中国の関係、果ては北朝鮮問題まで広範な分野を概観する。第二次世界大戦までの日中(朝鮮含め)関係の認識はよく理解できるし首肯できるものだ。中国・朝鮮・日本の間の「認知地図」の違いという議論はよくわかる。これを理解して外交なり経済交流しないとうまく行かない。最後にある、日本がアカデミックな「中国研究所」を立ち上げるというアイデアに賛成する。
読了日:03月13日 著者:橋爪 大三郎,大澤 真幸,宮台 真司
(あまり)病気をしない暮らし(あまり)病気をしない暮らし感想
面白くてためになるという本。仲野先生の「ひとりのりつっこみ」が堪能できます。やっぱり大学でも「教授」となるとけっこう給与は高いんですね。
読了日:03月01日 著者:仲野徹
ゆかいな仏教 (サンガ新書)ゆかいな仏教 (サンガ新書)感想
使えるものはなんでも使っての仏教論で大変わかりやすいし、面白い。他の宗教との比較はもちろん、現代哲学、ドラえもん、数学(集合論)、なんでもござれ。仏教は原始仏教からめちゃめちゃかけ離れたところまでいってしまうという話で、たとえば「市場経済をやっているのに社会主義」には笑った。ここでは論じられていないが、仏教の「誰でも覚れる(可能性がある)」という発想が、遠く現代日本でサリン事件を起こしたとも言えるよね。
読了日:02月26日 著者:橋爪大三郎,大澤真幸