鳩山友紀夫・白井聡・木村朗「誰がこの国を動かしているのか」を読みかけたのだが、鳩山政権が辺野古に代わる土地として「徳之島」をあきらめる経緯が面白い。なにしろ友紀夫さん自身が語っているんですからね。

 

「徳之島」という案がいかにも「せこい」案だというのはこの鼎談のお三方とまったく同意見だが、それにしても鳩山さんが外務省の官僚の作った書面ひとつで「徳之島」をあきらめたというのがどうにもやりきれない話だ。

 

アメリカの世界軍事システムに関わる話なんだから、厳選した専門家を擁するチームを従えて、強力なリーダーシップをもった人がひっぱっていかなければなるものもならない交渉だ。

 

沖縄県を押さえる人が一人、米国の軍事情報に通じた人が一人、自衛隊関係が一人、さらに自民党の重鎮も巻き込んでやらないとできる交渉じゃない。

 

それを、二次だか三次だか、ひょっとすると完全なでっちあげかもしれない文書ひとつであきらめちゃうってのはあまりにもお粗末だなぁ。

 

仮にも一国の首相だろう。せめてアメリカの国防長官かそれに順ずる人と膝詰めの談判をして進めるべき案件だ。アメリカが世界戦略の中で普天間をどう位置づけていて、どういうオールタナティブがあるのか、それをこちらでも読みきった上でなければ交渉なんかできませんよ。実際に起きたことはあまりに幼稚で…

 

誤解のないように言っておくと、鳩山さんの理念はいいし、尊敬するのだけれど、実際の進め方というものがまったくなってない。

 

まあ、あの時点では鳩山政権は空中分解寸前だったからなんとも仕方がないのだけれど。

 

一方で不思議なのは外務官僚がそういう「徳之島は無理よ」という書類を「でっちあげた」として、彼らのモティベーションはなにか、ということだ。対米従属することで、見返りがあるからか(おそらくあるのだろう)これが、見返りがあるのならまだしもで、単なる旧守主義だったりしたら目も当てられないわけだが。