つねづね、会社組織での権力というものはどうやって機能し、増殖し、腐敗するのかについて考えている。
最初はバランスのとれた有能な社長だと思っていた人が、だんだん硬直的なものの考え方をするようになり、取り巻きだけとコミュニケーションするようになり、自尊心が肥大していって現実と乖離し、ついには大きな間違った判断をし、誰もそれを「やめよう」とか「引き返そう」とかいえなくなってしまう。この過程に大変興味がある。
頭が固くなっていくのはひとつには加齢ということはあるだろうと思われる。65歳までくらいはまだしもだが、それから後になると体力も落ちてくるし、部下の諫言を聞くのが単純に「面倒くさく」なるようですな。それで、耳当たりのいいことしか言わない取り巻きを大事にするようになり、彼らのいうことだけを聞くようになってしまい、現実が見えなくなってしまう。
それでも、「本件このようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか」と正面から問いかける人がいるうちはまだましなのだ。えらいさんはそれを聞いて、自分の思うところを言うだろうし、少なくとも彼の中での整合性は取れるはずだからである。
最悪なのは、取り巻きどもが、「社長(あるいは会長)はこうお考えになっているはずだ」と「忖度」することにある。社長の本心は、プロジェクトの中止かもしれないのに、「社長のおはじめになったプロジェクト、中止するわけにはいかない」とか腰ぎんちゃく共がかってに「忖度」し、「プロジェクトは上手くいきます。こういう条件もこういう条件も揃っています」と誤った情報を吹き込み始めると末期である。えらいさんは「裸の王様」になり、会社は間違った方向へ驀進し始める。
「忖度」は悪である。「忖度」してはいけない。せめて、えらいさん本人の言葉で語らせるべきなのだ。