八王子駅前、放射線通りでは、恒例の古書まつりがひらかれています。

藤田かくじのブログ

今回は古いマンガ雑誌を手に入れてきました。
「ドーベルマン刑事」が巻頭を飾る昭和49年の少年ジャンプ、「あしたのジョー」「アシュラ」「ホモホモ7」などマンガ読みの心をそそる魅惑の「少年マガジン」などにも食指を刺激されたのですが、これらは名作ゆえ復刻版等でも読むことができます。

そこで選んだのが、「キックの鬼」くらいしか知ってるマンガが載ってない、「少年画報」昭和44年10月13日号です。
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P187の柱のコピーによれば、「月2回刊『少年画報』は、ハレンチまんが、根性まんが、迫力まんがとつぶぞろい!!」とのこと。

このうち「ハレンチまんが」は永井豪先生の「学園番外地」が担当してる感じ。
藤子不二雄先生の「仮面太郎」(画の感じではA先生作、内容は赤塚不二夫っぽい)やジョージ秋山先生の「コンピューたん」(これはかわいくていい話)は今の少年画報社のカラーからすると異質な感じがします。

一番気に入ったのは、巻末の新人読み切りシリーズのトップバッター、「涙は三度だけ」。

あらすじ。けんか好きの快男児・五郎は漁師の祖父や、仲間たちと楽しくくらしていた。
そんなある日、不良グループとの喧嘩で相手に大怪我を負わせてしまった五郎。
そいつの兄にわびを入れるも、けんかになり、五郎はぶちのめされる。
喧嘩には絶対の自信を持っていた五郎は、自信喪失。
すっかり負け犬になってしまい、不良グループにもいじめられ、以前とは見違えるように暗くなる。
五郎の様子がおかしいことに気づいた祖父は、不良グループに、五郎をこれ以上いじめないように談判に行くが…
再び兄登場、体の弱い祖父をボコボコに(祖父のピンチに観てるだけのへタレな五郎)。
これが原因で、三日後に祖父他界。
リベンジを誓って吠える五郎(その前に警察に行くべきでは…)。
再び体を鍛え、根性を入れ替える五郎。
一年後、祖父の命日に再び不良グループ&兄に挑む五郎。
不良4人を5コマで蹴散らすと、不良兄と再対決。
もちろん五郎完勝&夕焼けに向かってシャウト。
「じいちゃん もうきょうかぎりケンカはしないよ
 そのかわり強く正しく生きるよ 約束するよ
 みててくれよな じいちゃん!!」~fin~

まさに「根性まんが、迫力まんがとつぶぞろい!!」。
また、上記の内容を32ページに凝縮しているため、スピード感とテンポがあるのも特徴。
すじはどんどん作者がモノローグで説明しちゃうし。
それが、インパクトのある絵とあいまって、グルーブ感を生んでいる。

この作者・福原秀美先生が現在なにをしているのかググってみたら、今は官能マンガを描かれているとのこと。
「根性まんが、迫力まんが」だけじゃなく、「ハレンチまんが」も描くスピリットを体現しておられると思いました。