さて、ここにいつまでもいるわけにはいかない。


仕事モードに切り替えて


今日も一日頑張ろう。



歩き出したらメールの着信音が鳴った。



ん?


あ、田中くんからだ。


ドキドキしながら開いた。




「今夜話がある。仕事の帰りに寄るのでそのつもりで。」



なんだろう、話って。


なんか怖いな。怒られたりするのだろうか。





仕事を終え、健太を迎えに行った。


マンションのエントランスで田中くんが待っていた。




「お待たせ。」




「今来たところだから。」




一緒にエレベーターに乗った。


そう言えば、あんなに健太のことを可愛がってくれていたのに


最近では写真のおねだりが無い。


彼女がいるから仕方ないのかも知れないけど


それでも、この急変ぶりは異常だ。


なんで気づかなかったのだろう。




「どうぞ、入って。散らかってるけど。」




田中くんはいつもうちに来た時は必ず


いちばん最初に先生の写真に手を合わせる。




「牛丼買ってきたんだけど食べる?」




「あ、うん。有難う助かる。」




お茶を入れて二人で食べた。


味なんかわからない。


話が何なのか気になって仕方がない。


健太は田中くんがいるせいか終始ニコニコ。


田中くんは無言で食べている。




「あのさ、俺が今思ってることを全てぶちまけてもいいか?」




「嫌だ。怖い。」




「ダメだ。聞いて欲しい。」




‥‥なら初めからそう言いなよ。




私はお箸を置いて正座した。