「どうしよう。もう健太しか考えられないんだけど。」
「いいじゃない健太で。いい名前だよ。」
「だって‥‥ただでさえサキちゃんに誤解されてるのに、あぁもう!面倒臭い!!」
「普通に父親の名前から一字取ったって言えばいいんじゃん。何も悪いことしてないんだよ?堂々とすればいい。」
「そうかな。ま、いいや。おいで、健太。」
「あ、ちょっと。もう少し抱かせてよ。」
「ふふっ、ホントに赤ちゃん好きなんだね。」
「久しぶりのこの感じ、もう少し堪能したい。」
「どうぞどうぞ。あ、ねぇ、弟さんって健二さん?」
「うん。そうだよ。」
「後は健三さんと健四さん、健五さん?」
「惜しい!ラスト二人が不正解。健四郎の次は待望の女の子で、康代なんだ。」
「へぇ、ご両親は健康に拘ったんだね。」
「お陰でみんな健康そのものだよ。だから健太もすくすくと成長するよ、きっと。」
「有難う、嬉しい。」
‥‥先生は健一なのに短命だったな。
私が健康な子に育てるから安心してね。
結局面会時間ギリギリまでいた田中くん。
最後は名残惜しそうに帰って行った。
もちろん私の方は一切見ないで、健太ばかり見ていた。
そのうち自分の子が生まれたらもっととんでもないことになるんだろうな。
奥さんが大変だ。