先生からのメール。




「次の日曜日、B駅で待ち合わせね。いつものように七時の電車の第一車両に乗ってね。」




‥‥もう嫌だ。断ろう。




「無理です。」




「え?もしかしてその日は生理に当たるんだっけ?おかしいなぁ、当たらない日をちゃんとアプリで確認してるのにな。




え????


そんなアプリ入れてるの???


気持ち悪っ!!!




「生理だと会えないのですか?」




「だってちゃんとデキないよね?樹里が手と口を駆使してくれるって言うのなら別に構わないけど。でも、やっぱりどうせなら挿れたいな。血を見るの気持ち悪いから、1週間ずらそう。」




‥‥私に会う理由ってそれだけなんだ。




「とにかくしばらく会いたくありません。」




「いったいどうしたの?なに怒ってるの?」




‥‥これに対して返信しなかった。




私の不機嫌な理由が分かっても分からなくても


一緒に仕事をしなければならない。


仕事に私情を持ち込まないのが唯一先生のいいところだ。


私も仕事中だけは普通に話す。




その日もいつものように仕事を終え


新山先生と一緒に塾を出た。




「樹里先生、ちょっとお話しがありますが少しだけ時間頂けますか?」




‥‥何かいろいろバレたのかな?




「いいですよ。どうしましたか?」




町の人達の目を気にして、コンビニでコーヒーを買い、外のベンチに座った。


これなら仕事帰りの休憩だと、誰が見ても分かるだろう。




「えっと、単刀直入に聞きますね。樹里先生は河野先生に口説かれたり触られたりしたことありますか?」




‥‥ドキッ!



口説かれたり、触られたり、ハメられたりしたことがあるけど、そんなこと絶対言えない。




「ないですけど‥‥もしかして奥さんがあるとか?」




「はい。一緒に働いてた時よく可愛いとか、今度遊ぼうとか、お尻や胸に触れたりとか。」




‥‥アイツめ!アイツならやりそうだ!




「そうですか。奥さん可愛いですしね。」




「樹里先生も可愛いですよ。なんて言うか、その相談を受けた頃から、僕たち急接近して結婚したんで今となってはちょっぴり感謝してるんですけどね。」




「いやいや、感謝する必要はないですから。」




「もしかしたらほんの冗談だったのかもしれないし、お尻や胸にも偶然当たったのを妻が勘違いしただけかもしれないんですし。」




‥‥絶対本気だよ。




「で、私にどうして欲しいのですか?」




「いや、何かして欲しいとかではなくて、樹里先生に気をつけて欲しくて。妻からの伝言です。」




「そっか。有難うございます。たぶん私は女として見られてないから大丈夫だろうけど、一応気をつけます。」




「そんな、樹里先生は素敵ですよ?」




「有難うございます。新山先生だけですよ、そう言ってくださるの。じゃ、お疲れ様でした。」





コーヒーを飲み干して家に向かった。



もういいや、あんなヤツもう要らない!