「お疲れ様。上手に教えてたね。」




「有難うございます。関係ない話に脱線し過ぎでしたよね?以後気をつけます。」




「いや、あれはあれで良いと思うよ。香織ちゃんって集中力が無くて長い時間もたないから。」





「そうですか。またいろいろ教えて下さいね。」




夕食時間はもっぱら生徒の話ばかりだった。


でも


これはこれで楽しい。



先生の離婚のこととか、聞きたいと思ってたけど、もうそんなことはどうでも良いと思えてきた。



前職では見られなかった先生の姿。


凛としていてカッコいい。


先生にとって、今の仕事の方が天職なんだろう。



微力ながらお手伝いできたらと思った。


もう


好きとか嫌いとか


そんな感情はどこかに置いてきた。



今は生徒達のことで頭がいっぱいだ。


きっと先生も


同じ気持ちに違いない。



この子達を一人残らず志望校に合格させることが


今の私の願いだ。