こんにちは、「まもらーむーん、またの名をヒサイシストむーん」です。

実は2週間ほど前の8/17でこのブログも3周年を迎えました。

今までブログをお読みいただいた皆々様、この場を借り改めて感謝いたします。ありがとうございます!

コロナ禍で全く外出や交流がなくなり、何かを始めたいと思い立って始めたこのブログ。最初は週3回ほど更新してきたこのブログも最近ではダラダラゆるゆる状態…

気まぐれなブログではありますが、今後もノンビリゆるゆる更新は続けていく所存ではありますのでどうか生温かい目で見守って頂ければと…はい。

…というわけで今後も末永くよろしくお願いいたします。

 

さて、「私は今後こう生きる」的な所信を発表した手前、本日のCD紹介は「君たちはどう生きるか」サントラをご紹介したいと思います。
皆さんは映画「君たちはどう生きるか」もう観ましたか?下の記事には少々ネタバレも含んでいるのでそのあたりもお含みおきの上お読み下さい。
あ、ちなみに私は、3回ほど映画観ました。主に久石さんの音楽を聴きに(←怒られるやつ)。

 


「君たちはどう生きるか」~サウンドトラック



 

 

レーベル:徳間ジャパン
品番:TKCA-75200
発売日:23/8/9

曲目:

1:Ask me why (疎開)[1:20]
2:白壁[0:46]
3:青サギ[0:23]
4:追憶[2:05]
5:青サギ2[0:41]
6:黄昏の羽根[2:41]
7:思春期[1:14]
8:青サギ3[1:02]
9:静寂[1:26]
10:青サギの呪い[1:40]
11:矢羽根[2:57]
12:Ask me why (母の思い)[1:48]
13:ワナ[2:23]
14:聖域[2:46]
15:墓の主[1:44]
16:箱船[3:07]
17:ワラワラ[1:49]
18:転生[2:32]
19:火の雨[1:35]
20:呪われた海[2:35]
21:別れ[0:51]
22:回顧[2:23]
23:急接近[1:15]
24:陽動[1:02]
25:炎の少女[1:30]
26:眞人とヒミ[1:38]
27:回廊の扉[1:33]
28:巣穴[0:47]
29:祈りのうた (産屋)[3:48]
30:大伯父[1:08]
31:隠密[0:35]
32:大王の行進[1:46]
33:大伯父の思い[2:42]
34:Ask me why (眞人の決意)[1:59]
35:大崩壊[1:47]
36:最後のほほえみ[2:54]
37:地球儀[4:33]

オススメ度:★★★★★
マニアック度:★☆☆☆☆
難易度(ききやすさ):難★★★☆☆易


ジブリ最新作品である「君たちはどう生きるか」のサウンドトラック。

「風の谷のナウシカ」から始まった40年近いジブリ宮崎作品の全てで音楽を担当してきた久石さん。その最終地点とも言うべきアルバムです。

 

いわゆる「久石メロディ」と呼ばれる、ジブリメロディを想像している方にとっては今回のサントラはちょっと「?」が付くかも知れません。今までのわかりやすいメロディラインを使ったフルオーケストラの壮大な曲と言うよりは、室内楽的な構成で久石さんが昔から取り組んできた「ミニマル」ミュージックをふんだんに使用したサントラになっているからです。

映画そのものも宮崎監督の自伝的作品になっていることから賛否の声が上がっているようですが、後ろを振り返らないと昔から言っていた宮崎監督が数々のオマージュを使用してまで問いかける正に生涯を掛けた作品だけに、久石さんもその生涯を掛けて取り組んでいる「ミニマル」ミュージックで答えたと言うところでしょうか。

だからといって全てミニマルミュージックで構成されているかと言えばそんなことは無く、美しい旋律も、スケール感あふれる壮大な曲も聴けます。前半はミニマル中心、後半はややメロディよりといった印象です。

 

2023年の夏は私にとって「君たちはどう生きるか」一色の夏で、サントラもこれでもかとばかりに聞きこみました。

その結果、全ての曲が私にとってはお気に入りなのです(今となっては「3:青サギ」ですら愛おしい…笑)が、その中でも特に私が気に入っている曲達は

12:Ask me why (母の思い)

13:ワナ

14:聖域

18:転生
36:最後のほほえみ
あたりになるでしょうか(かなり厳選)。

 

12:Ask me why (母の思い)

については前回の記事で熱く熱く語ってしまったのでそちらをご覧いただきたいと思います。

参考記事:「Ask me why」と私。映画「君たちはどう生きるか」メインテーマ曲によせて

 

13:ワナ

曲を聴いて「悪人」の音楽を想像された方も多いのではないでしょうか。短いフレーズを繰り返し少しずつ変化させるいわゆるミニマルミュージックらしい一曲です。ストリングスとピアノによる短い音の繰り返しは緊張感を感じずにはいられず、映画の緊迫したシーンにとてもマッチした曲になっています。


14:聖域
主人公が”異世界”へと誘われるシーンで流れる曲です。右手の繰り返しに左手がメロディのように重なるとてもシンプルな曲です。まるでバロック音楽や宗教曲のような厳かで神聖な感じを受けます。コード進行の変化の響きがとても美しいです。この”聖域”が流れるシーンってとても重要なシーンですよね。石舞台のような墓所が印象的なシーンですが、夏子さんがいた”産屋”はまさにこの墓所と同じ。「墓所=死」と「産屋=生」が同じ石舞台。「死=生」「再生」。古代の墓所には同じ考え方が多くあり、そのような土地では墓所は”命の生まれる場所”つまり”子宮”と考えることも多々ありました。

私はこの曲が好きすぎてサントラを入手するや演奏動画を恥ずかしげも無くアップしてしまいました。拙い演奏ではありますが合わせてご覧いただければ幸いです。

 


18:転生
上で述べた”再生”が現れるシーンで流れます。穏やかで静かなストリングスとピアノの調べ。とても美しいです。長音で奏でられるストリングスの和音の響きはまさにフワフワとゆっくり浮かび上がるかのような印象で、生命の誕生の美しさと神聖さが感じられます。

 

36:最後のほほえみ
物語のエンディングにありがちな壮大なテーマ曲で無く、優しく語りかけるような心洗われる一曲。怒りや苦しみなど「悪意」が心のどこかでたぎっていた主人公が新たな人生に向き合い、心穏やかに一歩を踏み出してゆく。そんな気持ちが読み取れるような美しく清々しい曲です。

また 16:箱船などは久石さんの過去作「銀河鉄道の夜」をイメージさせます(私だけ?)。この作品ではジブリ作品のオマージュが度々登場するという事はすでに述べましたが、他にも宮澤賢治さんの作品のオマージュを感じるシーンもあります。わかりやすい例はインコの初登場シーンでしょうか。まさにあのシーンは「注文の多い料理店」を想像させますが、この「箱船」のシーンも、死者の国への旅という意味で鉄道と船の違いこそあれ「銀河鉄道の夜」と共通するものがあったのでは無いでしょうか。


久石さんのジブリ音楽には「キャラクター」や「テーマ」に沿って音楽が作られることが多いのですが、今回であれば

主題→1,12,34(ask me why)

青サギ→3:青サギ、5:青サギ2、8:青サギ3、10:青サギ呪い

大叔父→30:大叔父、33:大叔父の思い、35:大崩壊

ヒミ→19:火の雨、25:炎の少女、27:回廊の扉

インコ→24:陽動、28:巣穴、31:隠密、32:大王の行進

聖域→14:聖域、15:墓の主、21:別れ

塔→6:黄昏の羽根、22:回顧

会話?交友?→11:矢羽根、23:急接近

という感じになっていて、曲を聴きながらシーンを思い出したり、あれやこれや想像するのも楽しみの1つです。

 

 

その中で実は私には3回も映画を観ても分からなかった疑問が1つあって、それは「4:追憶」、「9:静寂」の中に現れるフレーズなのです。

両者は主人公が母を思い出す「夢」のシーンで流れるのですが、この曲の中に"インコ”のフレーズが出てくるのです。映画を確認してもこの曲が流れるシーンにインコらしき姿は全く見えません。というより後半にならないとインコは出現しません。かといって久石さんが映画の流れを無視して作曲するとは到底思えません。それでは何故”インコ”のフレーズが現れるのでしょう?

私の個人的な解釈ですが、ポイントは上で述べた”聖域”です。死と生を司る墓所は「石」でできています。また、インコは「石の中で生活してる」ことは劇中でも述べられています。よってインコはこの墓所の石の中にいるのでは無いでしょうか。

そして墓所(死)=子宮(生)。

インコは石(墓所)の中に存在し、それと同時に子宮の中にも存在する。

つまり主人公は夢の中で母の子宮の中に戻っていたのでは無いでしょうか。だからインコのフレーズが微かに聞こえてくる。

「9:静寂」の少し後のシーンでは主人公が水の中から浮上するようにベッド(現実)に戻るシーンが描かれていますが、その水中とは子宮の中を表していたのでは無いでしょうか。
そう考えるとインコは母の体内の何か、例えば「血液や栄養」「生命エネルギー」だったり、「人類の記憶」あるいは「欲望」「業」を表しているのかも知れません。

劇中ではコミカルな見た目と動作ながらもどちらかと言えば欲望に満ちた悪意の象徴的な立場に見えるインコ達ですが、そう考えると愛着もわきそうですね。まぁ、私の勝手な解釈ですが。皆さんはどう解釈されますか?

 


久石さんの「君たちはどう生きるか」に対する答えのアルバム。
よろしければ皆さんもぜひ一度お聞きになってみてください。
久石さんって本当にすばらしいですね。
では。

 

▼こちらから視聴・購入できます(楽天市場:楽天ブックス)

 

 

 

▼こちらから視聴・購入できます(Amazon)