なんででしょう。
電話口から漂う、優子の「女優」感。
どんなにダダを思い浮かべても、『ガラスの仮面』よろしく、舞台女優かのような口ぶりで突然饒舌になりました。
優子「あの、長女さんは、浩一郎さんがお子さんたちやお孫さんたちを捨てるつもりだったって書かれてましたけど、そんなことなかったと思います(「私は正義の味方」風)」
私「は?」
優子「浩一郎さんは、そんなつもりじゃなかったんです!」
私「いやいや、それはあなたが判断することじゃないですよね」
優子「そんな話、私は一度も聞いたことなかったですし、それだけはちゃんとお伝えしきゃと思ってっ(「優子、頑張った!」みたいなテンション)」
私「何をおっしゃってるんですか?」
この人、うちの妹や弟と同級生の子がいて(てゆーか4人の母)、しかも孫もいるんだよな、と思うと吐き気がしました。
還暦で不倫するって、こういう人だからなんでしょうね……
散々メールで「早く2人きりになれますように」「浩一郎との将来を伊勢神宮でお願いしてきた」と言いまくってたくせに、日本語が理解できていないのでしょうか。
子供と孫ありきの2人きりってなんだよ。
私「もう、いいですか?」
優子「あっ、あの、私は……なんていうか、そういうつもりじゃなかったんです」
私「は? どういうつもりじゃなかったんです?」
優子「家庭を壊そうなんて思ってなかったし、浩一郎さんとは……幼馴染なんですっ!!!」
私「はぁああああああああ?」
なんでちょっと悲劇のヒロイン風なのかもわからないまま、トンデモ発言でました。
これが、「天然な優子」か。
いや、どう考えても「人工」だろ。
私「ちょっと何言ってるかわかりませんし、事実としてうちはあなたに壊されたんです」
優子「(人の話聞いてない)浩一郎さんて、車にすごく詳しいじゃないですかあ? 私も車とかすごく興味あってぇ」
私「……」
優子「最初は、ひと学年年下の弟みたいな感じだったんですけど、なんていうか、気があっちゃったっていうかぁ(照)。それで仲良くなって」
へー。なんで馴れ初め聞かされてんの?
こいつ、サイコパスなの?
優子「はい、うん。楽しかったです。すごく、楽しかったんです!(よどみのない声)」
あ、そう。
私「で?(あなた、なんのために電話してきたわけ?」
優子「それだけはお伝えしておきたいなと思って」
私「そうですか。とりあえず、弁護士さんから連絡してもらいますんで」
優子「はい。わかりました。では、お母様によろしくお伝えください」
謝罪の電話は気づけばダダ劇場。
ただ、愛する人のために自分を犠牲にしている悲劇のヒロインを演じるババアの戯言に付き合わされただけでした。
私「なにあれ」
夫「すごかったね」
もちろん、この時の音声はばっちり録音しました。
と、同時に、「優一」と登録されていた電話番号があの女のものであることも確認できた。
でもどうしようもなく、負けた気持ちになったのも正直なところです。
あいつ、全然平気なんだ。
全部含めて優子劇場のシナリオの一部でしかないんだな。
そう思うと、母になんて伝えたらいいのか、わからなくなりました。
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