「本気」か「浮気」か

 

どっちみち不倫している時点でアウトで、共に犯罪者であることには変わりはありません。

だったらせめて、「本気」なら貫く、「浮気」なら徹底的に反省する。

できることなら、どちらにしろ誰も傷つけずにうまくやってほしい。

 

クソジジイは「本気」と言ったくせに貫く度胸もなく、ただただ母親を傷つけました。

 

もしもこれが同年代の友人の話だったら…

サレ妻友人には「よし、じゃあ旦那を徹底的に潰して次行こうぜ!!!」って言って一緒に戦えたし、

シタ妻友人なら「こちらの罪ができるだけ軽くて済むように離婚して、次で幸せになろう!」と応援できました。

 

でも、今目の前で起きているのは60間近の両親の話です。

 

母「本気だったって、浩ちゃんには子供も孫もいるんだよ? 私だけじゃなく、みんな捨てるつもりだったの?」

クソ「……」

母「本気だったんでしょ?」

クソ「……(黙って頷く)」

 

誰かの存在をここまで心から否定することは、もうこの先もないんじゃないかと思います。

40年、クソジジイのクソみたいなわがままに付き合って、すべてを捧げてきた母。

その人を前に嘘でも否定する優しさもなく、謝罪の言葉なんてもちろんなく、ただ、そこにいる。

そんなやつ、いなくていいです。

 

 

 

 

妹「ねえ、祐ちゃんも見たんでしょ? なんか言ってやってよ!」

弟「は? なんの話? 俺は何もしらねーし

 

チーンチーンチーンチーンチーンチーンチーンチーンチーンチーンチーンチーンチーン

 

クズはまたクズを助け、母がこれまで築いてきたものは一瞬にして崩れ落ちました。

身動きの取れなくなった母を、妹はその場から連れ出しました。

 

妹「もういいよ。行こう」

クソジジイ「俺が出て行くよ」

母「いい、私が出て行く」

 

この日、母は妹の家に一時避難し、一晩中泣き続けたそうです。

 

「本気だった」

 

40年連れ添ってきた男が唯一発した言葉が、これ。

私だったらその場で包丁でも持ち出していたかもしれません。

 

こうして、決戦の夜はあまりにあっけなく、一瞬で終わってしまいました。