「浮気調査」といっては大袈裟ですが、母、妹、私の3人で父の不倫の証拠を集めることになりました。
「どうしても信じられない」
父の不倫を確信してから数週間、母は毎日私たちにそう言い続けました。
交際期間も含めれば40年も連れ添ってきた自分の夫が“不倫している”という事実を、そう簡単に受け入れられないのも無理はないですよね。
でもそうは言いつつも、母は、一度開いてしまった父の携帯というブラックボックスをチェックすることがやめられくなっていきました。
LINE嫌いの父がテキストでやり取りするツールといったら、携帯メールのみ。
母は毎日、父の入浴中と、父が深い眠りについている深夜3、4時に携帯をチェックし、メールを読み続けたのです。
最初は操作方法の違う父の携帯の扱いになれず、ただ、送受信BOXをチェックするだけ。
たいていはどちらのBOXもほぼ消されてしまっていたようですが、優子からのメールだけは数件残っていました。
「声が聞きたい」
「10分でも15分でもいいから会いたい」
「浩一郎、愛してる」
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スマホで写真を撮ると音が出てしまうため、母はメールの文面をスクロールしながら動画を撮り、それを妹との3人のグループLINEに送ってくるようになりました。
怒りからか、そのスクロールがすごいスピードだったり、画面を持つ手が震えていたり、時には泣きながら撮っていたいるのかな、と思うようなものもありました。
同時に、メールは消されていても、着発信の履歴は毎日しっかり残っていました。
お昼休憩の時間帯、仕事が終わって自宅に帰宅するまでの間、時には出勤中の朝の時間帯にもお互いが何度も電話を掛け合っている。
母には「仕事が終わった」とか「これから帰る」とか、電話はおろかメールすらしてくることはないのに。
眠れない。
食べられない。
寒気が止まらない。
60手前の、決して若くない母の体に異変が起きるのには、そう時間はかかりませんでした。