「見てこれ。あのジジイ浮気してた」

 

珍しく、妹から着信が数件残っていました。

仕事中で出られず、終わってからLINEを開くと、数枚の写真とともに、いきなり父親の不倫発覚を告げるメッセージが届いていたのです。

 

そこに写されていたのは、父・浩一郎(以下、すべて仮名)宛のメール。

送り主は「優一」という聞いたことのない人物でした。

 

「思うのです。浩一郎と別れられないって」

 

妹に電話をし、「どういうこと?」と聞くと、母が偶然父の電話を聞いてしまい、携帯をチェックしたとのこと。

そこで、上のメールが出てきたそう。

 

「母に呼ばれて、父がゴミ捨てに行ってる間に私も携帯チェックした。

受信も送信も、この前撮ってた孫の写真も消されてたけど、優一からの大量の着信履歴は残ってたよ。

メール開いて予測変換で『ゆ』って打ったら『優子』って出てきたから、本名は優子だね」

 

なんともわかりやすい。てゆーか、安直すぎる。

 

父の携帯の「お気に入りダイヤル一覧」にも、家族の名前に混じって「優一」の名はしっかりと並んでいました。

 

昔、私が二股をかけられていた時、相手の男は私の苗字だけを登録していました。

ありふれた名前ならなおさら、そのほうがなにかと言い訳もしやすいはず。

友人なんて、不倫相手に「引越しセンター・鈴木さん」と登録されてたって言ってたっけな(苦笑)。

 

でも、おそらく父は、相手の女の痕跡を残しておきたかったのでしょう。

完全に別人にはできなかったし、その名前でいっぱいになっている携帯を見て幸せを感じていたんだと思います。


この日から、私たちの生活も「優子」でいっぱいになりました。