入院して1か月が経つ頃には、
父は食事が取れるまでに回復した。
抗がん剤(RB療法)の効果が
あったのだと思う。
流動食からではあったものの、
わりとすぐに5分粥が出るようになった。
それでも、全粥だったり、小盛りになったりと、
これも変動があった。
服用している薬の関係で、NG食材があったり、
嗜好上から出さずに配慮してくれたりと、
栄養課の方へは感謝だった。
父は、看護師さんとのコミュニケーションを
色々取れるようになったのは良かったが、
家族の前と変わらない態度をとるようになっていた。
それだけ、”慣れた”という点では良かったのかもしれない。
それでも、毎日挨拶をするこちらからすると、
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ワガママで意地っ張り。意固地な性格。
それに対応するのは、
家族でも正直しんどい。
なので、私はよく病室で、説教していた。
あまりにも度が過ぎる時は、
母の気苦労を訴えた。
それでも、
「それは分かってるんだけど、どうしてもそう言っちゃう」
と、自分の甘えたい気持ち。
病気の怖れや、私達がいない間の淋しさを、
訴えてきていた。