後日入院することが決まった。

 

ベッドの空き状況からすると、

入院できるのは約1週間後。

入院連絡票をもらい、説明を受け、

必要事項を記入して持参してほしいとのことだった。

 

 

翌日の夜、布団にいた父に異変が起こった。

私達が隣の部屋で夕食を取っていた時、

 

「お~いっ!」

 

と叫ぶ声がした。

 

行ってみると、布団へ大量に嘔吐していた。

ほとんど何も口にできていないのに、

どんどん逆流してくる。

とにかく、落ち着くまで背中をさすり、

そのあとに処理をする。

今思えば、

血液が混じってなかったのが不幸中の幸いだった。

 

この状態では入院予定日まで自宅で看れない。

自宅看護の限界を、

とうに超えているようだった。

 

 

入院できる準備をして、翌朝一番、病院へ行った。

昨夜のことを懸命に訴えた。

しかし、ここには医者と患者との見解の相違があった。

 

”大量の嘔吐”の状態

 

患者は、多少なりとも大げさにいうものだと、

医者は感じているのだろうかと思った。

けれども、父が嘔吐した量は、

バケツが必要な状況だった。

それでも、医師から入院の許可は下りなかった。

 

 

 

 

 

 

点滴をして、横になっている父に、

私はこう励ました。

 

「週末は○○を観て、家で乗り越えようね」

「そして、週明け入院しよう」

「仕方ないよ、ベッドが空いてないからさ」

 

その会話を、医師が聞いてたのか、

看護師が聞いてたのかは分からない。

 

少ししてから呼ばれた。

 

「今日は無理ですが、明日入院しましょう」

 

このことは、今でも伯母から褒められる。

よくぞ懸命に訴えたと。

父の命に関わること。

譲れない気持ちが伝わったのかもしれない。