父の仕事は不安定で、
あったりなかったり。
いつもそんな感じなのだが、
手抜きをしないし、拘りが強い。
けれども、新規のお客様はもちろん、
以前のお客様からも、
なかなか依頼が来ない。
営業がうまい人や、やり方がうまい人は
きっともっとたくさんいる。
でも、父はそういうのを嫌い、
強固なまでに頑丈に、何十年も住めるよう・・。
そういう仕事をしていた。
家にいる時間が長いと、
食費を浮かせようと朝食を抜く。
けれど、お腹が減ると買い置きのお菓子を食べる。
結局は意味がないと思うのだが、
あの頃はそのようなこともなく、
腰の痛みを訴えて、
色々な病院へ行っていた。
普段は大食いなのに、食欲も減ってきている。
それでもお腹のでっぱりは無くならない。
本当に不思議な毎日を過ごしていた。
確実に病魔が身体を蝕んでいる。
けれども、昔から口癖のように言っていた。
もし、次に何か自分が病気になっても、
医者にはいかない。
早く死んだ方がマシだ。
次に病気になったらと言うのは、
50代の時に心筋梗塞で危険な状態に陥ったこと。
幸いにして、術後の後遺症もなかったが、
何かと自分の最期について口にしていた。